内容説明
第8回ネット小説大賞受賞作! 偏屈でぐうたらな館長と苦労人司書、奇妙な来館者が織りなすビブリオファンタジー! 鬱蒼とした雑木林に囲まれた町はずれの私立図書館・黄昏堂《たそがれどう》。そこで働く新人司書・湊(みなと)は、膨大な蔵書を有するにもかかわらず、少ない来館者数に嘆いていた。しかし、偏屈な若き館長・空汽(うつろぎ)は「この館に余計な客を増やすつもりはない」とまったくやる気を見せない。怠惰な空汽と彼の飼い猫・クロ、そして数少ない常連客たちに囲まれ、湊は仕事にいそしんでいた。そんなある日、常連客の紹介でとある病に苦しむ大学生が訪れた。しかし彼は湊が目を離した僅かな隙に忽然と姿を消してしまう。「――そろそろ新しい仕事を覚えてもらおうと思っていたんだ」空汽に案内されたのは地下の閉鎖書庫・永劫廻廊。そこに足を踏み入れた湊は、書物に纏わる神々や伝承の存在と出逢い……? 謎を秘めた図書館を舞台に繰り広げられる、新たなビブリオファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kou
44
こんな私設図書館があったら、是非、行ってみたい。内容は、不思議な事件を奇書や禁書の力を貸りて解決!って感じだと思ってたら、予想以上にファンタジーだった。続編も期待して待ちたい。それと、赫猫と湊の交流も、もっと見てみたいなぁ。2021/07/07
よっち
43
鬱蒼とした雑木林に囲まれた町外れの私立図書館・黄昏堂。怠惰で偏屈な館長・空汽や愛猫のクロ、数少ない常連客に囲まれ仕事に励む日々を送る新人司書・湊が、不思議な出来事に巻き込まれてゆくビブリオファンタジー。館内から忽然と姿を消した客を捜す最中に見つけた地下書庫の隠し扉にあった蒼き猫の楼閣、そして彼女自身が抱える辛い過去やとある手記にまつわる時空を超えた謎から戦争、焚書といった重い過去も描かれていきましたけど、そんな図書館に彼女が居場所を得てゆく物語は趣があって良かったです。続編出るならまた読んでみたいですね。2021/05/14
お涼
25
稀少で奇妙な書物が集まる私立図書館[黄昏堂]。来館者を増やしたくない、増やせないのには理由があった。異界へつながる手記をめぐる物語。端から端までのびっしりの文字に圧倒されるけどすぐに本の世界に入り込んでた。続きがあれば読みたい。2021/11/17
秀玉
20
この手の内容が好きだ。楽しく一気読み。現オーナーの昼行燈ような館長と新しく採用されたテキパキ司書の女子。ふたりの掛け合いが面白い。が、内容はオカルト系。同様な二人とオカルト系本では「滴水古書堂の名状しがたき事件簿」があり、シリーズ2冊とも読了。もち作家は違う。滴水…は超自然現象が中心だが、こちらはファンタジー要素も絡めている。是非続編が読みたい。これも不思議が多い。それは明かせない、説明がつかない現象なわけだからしかたがないとして、女性しか入れない分館へ友人男子はどうやって入っていけたのだろうか。気になる2023/07/04
assam2005
19
郊外にひっそりと佇む私設図書館・黄昏堂の秘密。司書として働く湊はそこにある多くの本を多くの人に楽しんでほしいと思うのに、館長の空汽は本にふさわしい利用者しか近づけない。そして、図書館は不思議な世界への入口でもあった。本が誘う異世界。読書家ならなんとも体験したことがあるそのトリップ。通常は隔離された別世界なのに、異世界が現実に影響する。読むと不幸になる本って、読み手の心の奥底に潜む何かを刺激するってことだろうか。その根源は本にあるというよりも、人の心にあるように思えた。2022/04/05
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