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内容説明
「日本人はメルケルを誤解している」。ドイツ国民の多くは、「世界で一番影響力のある女性」アンゲラ・メルケル首相を誇りに思っている。民主主義・人権・環境――彼女は魔法のように、ドイツ人の思考を変えてしまった。しかし、その副作用としてドイツは自由を失いつつある。かつてのライバルCDUとSPDは連立が長期化し過ぎて呉越同舟、野党・緑の党は信条的にメルケルと一番フィーリングが合うという不思議。唯一のコアな野党AfDには極右のレッテルが貼られ、叩くか無視する以外は許されない。ドイツ社会は、異なった意見を受け入れないという危険な水域に入ろうとしている。だが、多くの国民はそれに気づかない。いったい何が起こったのか? メルケル首相とドイツ政治の変容をライフワークとして追い続ける著者が、生い立ちから雌伏の時、豹変と飛翔、君臨への過程を描き切る。日本人がいまこそ知っておくべき、美名の裏に隠れた全体主義化への警鐘。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
100
著者は「なぜか日本にはメルケル・ファンが多く、偉大な名君として名を馳せる」のが我慢できないのだろう。これでもか、これでもかとメルケル首相の強かさ、遊泳術の巧みさ、変わり身の早さを列挙してゆく。脱原発と難民受入れは、ポピュリストのスタンドプレーだと言う。保守党CDUを率いてドイツ社会を左傾化させたのは、ドイツを社会主義化するというメルケルの陰謀だったとも。本当だろうか。大連立を繰返して左右両派のバランスを取りながら、跋扈する強欲資本主義に対抗して国家運営に当たるメルケル首相の高い理念を、私は信じたい。2021/07/16
ぶ~よん
73
ドイツ史上初の女性首相を解説した著書。所属政党であるCDU(ドイツキリスト教民主同盟)の支持率が下がっても、彼女の支持率は下がらない。政治的に正しいかどうかは置いといて、ドイツ国民の気持ちを汲むことが抜群に上手い人なのだろう。特に原発問題では、どんなにエネルギー費が高騰し、使用が制限されようと、ドイツ人の原発嫌いの感情を尊重した。元々社会主義思想を持っており、中道右派のCDUを左傾化させているとのこと。政治屋としても優秀で、選挙に勝つために他人を陥れることにも長けている。超優秀な小池さん、という感じ?2022/09/10
南北
56
メルケルの半生を描いた本。一言で言えばドイツの小池百合子といえる。権力志向が強い点や原発擁護から突然、反原発に変わるなど政策面でのこだわりが全くない点がそっくりだ。エネルギー問題に限っても2022年までに原発ゼロを推進しているが、代替エネルギーのメドが立っているわけではない。メルケルは2021年の総選挙で首相を退任するとしているが、こんな状態で政権をバトンタッチされても後任の首相は難題を押しつけられるだけだ。もはやメルケル批判ができず、全体主義への道を進んでいるドイツは危険な段階に入りつつあると思う。2021/04/20
しろくまZ
11
ドイツ在住の論客による2021年の著作で、ドイツの現代史とメルケルの半生を絡めたものになっている。元々、社会主義に親和性のあった女性が、ドイツ統一という歴史的大事件の最中、保守政党CDUに入り権力闘争を勝ち抜いて、首相にまで上り詰める。そして政権を維持していく中で、反原発、難民の大量受入れ、同性婚の法制化などの数々のリベラルな政策を実行していく。当然、保守政党たるCDUは、その存在理由を疑問視され支持率を減らしていく。その結果、より右派的な主張を掲げるAfDが支持を伸ばしていく。(続)2024/09/07
tomo
9
☆☆☆ SPD,CDU,CSU,馴染みのない政党名に、地名と名前。政治体制等ほとんど知らなかったので、前半はかなり読みづらかった。しかし、メルケルは元東ドイツ出身で、もともと社会主義者ということは分かった。ホロコーストのトラウマがあるドイツ国民は、左翼の「仲良し政治」を選択し、あげくに、EU(ドイツ)と中国(?)が温暖化対策の先陣を切る!?との中国首相と共同会見。悪い冗談のようだが事実だ。人の良さそうなおばあちゃんと思っていたら、とんでもなかった!2021/04/18
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