ちくま新書<br> 血の日本思想史 ――穢れから生命力の象徴へ

個数:1
紙書籍版価格
¥1,012
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

ちくま新書
血の日本思想史 ――穢れから生命力の象徴へ

  • 著者名:西田知己【著者】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 筑摩書房(2021/03発売)
  • 新生活を応援!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~4/5)
  • ポイント 225pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480073846

ファイル: /

内容説明

古くは、日本社会は強い血族の結束を志向していなかった。「血縁」「血統」などの言葉は江戸時代の新語であり、それ以前には「血」は世代間で受け継ぐものではなく、もっぱら穢れを表す、死の象徴だった。それがなぜ江戸時代に「血」が家族のつながりを表すようになったのか。古代、中世から日本人の「血」へのまなざしの変遷をたどり、近世における宣教師の影響や、近松門左衛門の浄瑠璃における「血」という語の「発明」などに注目。日本人の生命観の変転をみる、新しい思想史の試み。

目次

はじめに
第一章 古代
1 血をめぐる東西
西洋の犠牲儀礼
継承される肉体
骨肉と身体髪膚
陰陽論と気血
胎児生成論
2 不浄観と家社会
律令制度と延喜式
筋目正しき人
双系制と家社会
3 今昔物語集の奇談
不吉な卒塔婆
纐纈城からの脱出
妖怪が残したもの
インドの生き胆伝承
第二章 中世
1 義経記の人間模様
源家の異母兄弟
兄と弟の対立
四天王の末路
2 信心と逆転劇
脚色された景清物
身代わりの阿弥陀像
無縁寺から縁切寺へ
3 仏教思想と血脈
浄土真宗の三代伝持
血の池地獄説
キリシタン版の辞書
4 神道思想の系譜
神道史概観
神皇の正統記
吉田神道の血脈
第三章 近世前期
1 儒者から儒者へ
キリシタン起源説
中江藤樹と血脈貫通
熊沢蕃山と火葬問題
山鹿素行の孝行論
2 西鶴文学の妙味
架空の裁判記録
真の親子の見分け方
無慈悲な生き胆物語
3 近松文学の造語
出世した景清
血筋の血という発明
曽我兄弟の物語
血の雨いまむかし
受け継がれる穢れ
4 元禄期の国際交流
健康志向と養生訓
貝原益軒と西川如見
じゃがたらお春
国性爺合戦
5 仏教諸派と儒家神道
ニセの寺院法度
本願寺派と高田派
林羅山の儒家神道
山崎闇斎の垂加神道
第四章 近世後期
1 血塗られた文学
二人目の近松
奥州安達原
南総里見八犬伝
庚申山の山猫
2 武家の養子問題
伊藤仁斎と荻生徂徠
法令と末期養子
批判された武家株
3 仏教語の読み替え
血脈か法脈か
親子のような師弟
肉縁と血縁
4 国学と復古神道
崎門派の神代解釈
本居宣長の前と後
誤った語源考証
赤染衛門の父親
5 蘭方医と産科医
解体新書への道
人体解剖の名脇役
出産マニュアルの歴史
家庭医学百科
ハンセン病への誤解
第五章 近代
1 成句と造語
国語辞典と英和辞典
大槻文彦の言海
狂言記と幸田露伴
2 西洋医学の最先端
血液循環論
輸血法への道のり
3 政策としての国際結婚
福沢諭吉の士族論
日本人種改良論
加藤弘之の雑婚批判
森 外と黄禍論
4 法律上の親子関係
旧憲法と皇室典範
民法上の血族
おわりに
参考文献・参考史料

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

59
血という視点から日本の思想史に切り込んだ本は初めてだろう。血を穢れたものとする考え方が古来から浸透していた話はよく聞くが、血を「生命をつなぐもの」と考えねば日本人が世襲を容認するはずがない。血が死から生の象徴へと真逆の転換を遂げたのかを宗教や学問、文学の変遷を辿りながら日本人の意識変革プロセスを探る試みが面白い。特に江戸時代に儒学や国学、医学などが一般に広まった影響が決定的な転回点だった部分は、日本史上の江戸の重要性を再認識させてくれる。将来、移民が大量に入るようになれば再び血についての見方が変わるのか。2021/06/04

ゲオルギオ・ハーン

28
日本国内だけでなく、海外の文献や思想も考慮にいれながら日本における「血」の思想がどのように変化していったかを解説・考察している本。思ったよりも濃厚な研究をされていて最後まで飽きなかった。そもそも日本は血を穢れたものとしていて口にする、書くだけでも避けてきた。血筋という表現は古代からあるが、これは明治以降のような血統という意味ではなく、単に血管のことを言っていた。家族の繋がりは血ではなく、骨肉で表現されていた。これは中国からの陽精陰血の思想の影響もあり、親子関係などは胤、つまり父によるもので表現されていた。2022/03/12

皆様の「暮らし」を応援サポート

19
話があちこちに飛びまくってかなり読みにくくはありますが、あちこちに飛んだ話はどれも魅力的で、普段はあまり知ることのできない情報が「血」という一語に関わり合って詰まっています。2023/05/12

かんがく

13
学術系の新書だが、「血」をテーマに古今東西の言語、風習、文学、医学などを縦横無尽に行き来する内容は京極夏彦の小説を読んだときのような満足感があった。「血」は死の象徴であるとともに生の象徴でもあり、穢れと捉えられる一方で聖なる存在にもなるという多義性が面白い。2023/02/12

さとうしん

13
「血筋」「血縁」「血統」という文脈での「血」という表現が生まれるまでの流れと、生まれてからの展開。単なる思想のうえでの問題にとどまらず、「輸血」「混血」など医学上、生物学上の問題にまで発展していく。ただ、親子関係を判別するための「血合わせ」を江戸時代に日本で生まれた俗信としているが、中国時代劇でもこの種の風習が頻出するところを見ると、おそらくは中国に由来するものではないか。2021/05/12

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/17564971
  • ご注意事項

最近チェックした商品