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内容説明
戦争が終わり,皇帝はいなくなった.新しい時代を夢見た人びとは,よりよい明日を求めて戦うが…….一九一八年から一九一九年にかけての冬,ベルリンの貧しい地区で育った少年ヘレは,失敗に終わった革命を目撃する.二十世紀前半のベルリンを舞台に,激動の時代の転換期を労働者一家の目線でとらえた傑作三部作,第一巻.
目次
第二部 友と敵(続き)┴第三部 怒り┴第四部 どんなに遠い未来でも┴原注┴訳注┴あとがき┴訳者あとがき┴『ベルリン1919』にまつわるドイツ年表┴【上巻目次】┴第一部 不穏な空気┴第二部 友と敵
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
61
第一次世界大戦の敗戦後に起きたドイツの革命については、ほとんど知らないといっていいほどだった。社会が大きく変化するとき注目されるのは大人たちばかりだが、子どもたちも敏感に変化を感じているしその影響を受けている。誰もが明るい未来を信じたのに、共通の敵を倒した後の国家中枢は内部抗争に明け暮れるようになり、主義主張の違いによって身近な人が敵味方に分かれていく。それを間近に見なければいけない子どもたち。ますます暗く厳しい社会になることを知っていて読むと、いくつかの場面で「ここでこうならなかったら」と考えてしまう。2024/09/26
ヘラジカ
45
この物語の少年少女は暗黒の時代によって否応なく苛烈な大人の世界へと引きずり込まれてしまう。子どもが子どものまま、子どもの世界を冒険するような児童小説とは一線を画する。少年文庫とは言っても、どの年齢の人間が読んでも痛みを感じる作品だろう。綺麗な結末のない物語は当然のように現実的で、続く2部・3部の年代を考えると益々辛い読書になりそうだとため息が出る。それでも一家の行く末、彼らがどのような視線で歴史を見つめるかが気になって読まずにはいられない。名作。第二部の主人公は成長したハンス坊やか…生き延びて良かった。2020/02/19
kawa
34
第一次大戦終了直後のベルリンにおける帝政崩壊後の社会革命運動の様子、社会民主党、独立社会民主党、共産党三つ巴の内紛を描く。この時の混乱が、後のナチの台頭、第2次世界大戦につながったと言われる。上巻の感想にも記したが、全体に児童書、記録文学に徹した故か平板な展開が続き読みに苦戦。内容は非常に興味深いゆえに、ちょっと残念。(中学生対象児童書)2022/03/11
しゃん
27
第一次世界大戦が終わり、どのようにしてワイマール共和国ができたのかについて全く知識がなかったので、これを読んで参考になった。上巻に増して、ゲープハルト家の貧困、病気、寒さが痛くて、読んでいてつらい。生存するだけで必死の状態(でも、そんな中にあってもクリスマスの一幕はほっとさせられる)。そのなかで、13歳のヘレは弾薬を運んだりと危険な仕事を行う。また、彼は知り合った人々の死に直面したりする。戦争が子供たちにいかに悲惨な状況に陥れるのか、それは今も変わらないと考えさせられた。2020/09/14
みつ
25
帝国崩壊後のドイツを少年の目を通じて描く作品の後半。理想の憲法を掲げたいわゆるワイマール共和国を担う社会民主党が、ここでは弾圧の主体として描かれる。「平安と秩序」という言葉も、ここでの急進的な労働者者たちの中では決して肯定的に捉えられていない。ワイマール連合を構成する政党の支持者であった、オスヴィンやフレヒジヒ先生への苛烈な仕打ちは共和国当初の出発点から多くの幻滅を孕むように見える。主人公の父は「未来に賭ける。それがどんなに遠い未来でもな。」と言うが、この先ドイツに明るい未来が訪れるのは、いつのことか。2024/12/09
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