内容説明
二人に一人はがんになると言われているいま,様々な治療法が研究されている.そのなかで外科手術は,がん治療の根幹である.外科医として,肝がん,そして難治性の膵がんの治療・手術の最前線にいる著者が,肝胆膵のがんの外科的治療の開発研究の軌跡と最新状況,さらに外科医の日常,師からの指導,患者からの学びなどを綴る.
目次
はじめに┴1 外科医の日々┴1 肝臓がん手術の一日┴カンファレンスと回診/手術が始まる/患者さんとの約束/肝臓が現れる/肝臓を浮かせる/肝授動に必要な忍耐/出血を減らすために/超音波を武器に/道しるべは肝静脈/麻酔科医からの信頼/一〇時間の手術を経て┴2 手術を描き,記録する┴脳が蘇らせる手術の風景/ゴールデンタイムのデフォルメ/手術イメージ再現の効用┴3 他院での手術┴手術の依頼/大切なのは我慢/患者さんの無事を┴2 肝臓,胆道,膵臓┴1 肝 臓┴体内で最大の臓器/大樹のように/肝障害が進行すると/胆汁の産生┴2 胆道┴胆汁を十二指腸に運ぶ道/閉塞性黄疸┴3 膵臓┴内臓の深部に存在/外分泌と内分泌┴4 肝臓がん┴肝臓がんの分類/肝細胞がんとは/肝細胞がんの治療法/肝細胞がん治療のトピック┴5 胆道がん┴胆道の三種類のがん/胆道がんの治療法┴6 膵がん┴膵がんの成績/膵がんの性質/進行した膵がんの治療法/切除可能な膵がんと補助化学療法┴3 肝胆膵外科医への軌跡┴1 地域基幹病院の外科部長からの学び┴外科研修先の決定/外科修行/患者さんへの向き合い方/やさしさと厳しさと,探究心┴2 肝胆膵外科の師との出会い┴レジェンドのオーラ/肝細胞がんの外科治療/幕内基準/肝系統的亜区域切除/師と弟子たち/フェアーな師/日本の生体肝移植の現状/東京大学における生体肝移植/肝移植後の合併症との闘い┴4 肝胆膵がんへの挑戦┴1 肝機能に基づいた肝区域切除┴肝臓手術の開発と教育/危険だった肝臓手術/ICGを用いた肝切除基準/間歇的肝門遮断/術中超音波の活用/肝臓の最深部の切除┴2 肝門部領域胆管がんの切除と門脈塞栓術┴肝門部領域胆管がんの手術とは/術前門脈塞栓術/PVEを併用した成績┴3 両葉多発肝転移に対する二期的肝切除とALPPS┴大腸がんの肝転移に対するあきらめない肝切除/部分切除が良い理由/肝転移に対するPVEの併用と限界/フランスの二期的肝切除/新しい二期的肝切除ALPPSの功罪/ALPPS変法手術の考案┴4 膵がん補助療法開発の歴史┴ゲムシタビンの登場/拡大郭清手術の時代/拡大郭清から手術後の補助療法へ┴5 術後合併症を減らすために┴1 術後合併症との対峙とリスク管理┴合併症とは/術後の患者さんの容態の変化/肝臓の切除に伴う合併症/膵臓の切除に伴う合併症┴2 出血の少ない肝臓の切除をおこなうために┴出血の少ない肝切除の必要な理由/出血を減らす秘策/座って手術をする理由┴6 患者からの学び┴1 ある患者さんとの出会い┴学ぶ患者,ともに闘う患者/術後の生活/「患者力」を感じる/主治医として患者さんについて考えること┴2 再発と対峙する┴再発の告知/コンバージョン手術/患者さんと同じ方向を向く/化学療法,コンバージョン手術,そして,化学療法/坂井さんからの問い┴7 未来への課題┴1 リスクへの対峙と教育┴手術のリスク/術前診断と手術の適応/ビッグデータを用いた併存症と合併症の解析/リスクの高い手術を引き受けるために/リスクの高い手術での 離操作┴2 外科医の働き方を考える┴外科医の減少/外科医の働き方改革/腹腔鏡下手術の導入┴3 外科技術の伝承┴あとがき┴文献注
感想・レビュー
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