岩波新書<br> がんと外科医

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岩波新書
がんと外科医

  • 著者名:阪本良弘
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 岩波書店(2021/03発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004318569

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内容説明

二人に一人はがんになると言われているいま,様々な治療法が研究されている.そのなかで外科手術は,がん治療の根幹である.外科医として,肝がん,そして難治性の膵がんの治療・手術の最前線にいる著者が,肝胆膵のがんの外科的治療の開発研究の軌跡と最新状況,さらに外科医の日常,師からの指導,患者からの学びなどを綴る.

目次

はじめに┴1 外科医の日々┴1 肝臓がん手術の一日┴カンファレンスと回診/手術が始まる/患者さんとの約束/肝臓が現れる/肝臓を浮かせる/肝授動に必要な忍耐/出血を減らすために/超音波を武器に/道しるべは肝静脈/麻酔科医からの信頼/一〇時間の手術を経て┴2 手術を描き,記録する┴脳が蘇らせる手術の風景/ゴールデンタイムのデフォルメ/手術イメージ再現の効用┴3 他院での手術┴手術の依頼/大切なのは我慢/患者さんの無事を┴2 肝臓,胆道,膵臓┴1 肝 臓┴体内で最大の臓器/大樹のように/肝障害が進行すると/胆汁の産生┴2 胆道┴胆汁を十二指腸に運ぶ道/閉塞性黄疸┴3 膵臓┴内臓の深部に存在/外分泌と内分泌┴4 肝臓がん┴肝臓がんの分類/肝細胞がんとは/肝細胞がんの治療法/肝細胞がん治療のトピック┴5 胆道がん┴胆道の三種類のがん/胆道がんの治療法┴6 膵がん┴膵がんの成績/膵がんの性質/進行した膵がんの治療法/切除可能な膵がんと補助化学療法┴3 肝胆膵外科医への軌跡┴1 地域基幹病院の外科部長からの学び┴外科研修先の決定/外科修行/患者さんへの向き合い方/やさしさと厳しさと,探究心┴2 肝胆膵外科の師との出会い┴レジェンドのオーラ/肝細胞がんの外科治療/幕内基準/肝系統的亜区域切除/師と弟子たち/フェアーな師/日本の生体肝移植の現状/東京大学における生体肝移植/肝移植後の合併症との闘い┴4 肝胆膵がんへの挑戦┴1 肝機能に基づいた肝区域切除┴肝臓手術の開発と教育/危険だった肝臓手術/ICGを用いた肝切除基準/間歇的肝門遮断/術中超音波の活用/肝臓の最深部の切除┴2 肝門部領域胆管がんの切除と門脈塞栓術┴肝門部領域胆管がんの手術とは/術前門脈塞栓術/PVEを併用した成績┴3 両葉多発肝転移に対する二期的肝切除とALPPS┴大腸がんの肝転移に対するあきらめない肝切除/部分切除が良い理由/肝転移に対するPVEの併用と限界/フランスの二期的肝切除/新しい二期的肝切除ALPPSの功罪/ALPPS変法手術の考案┴4 膵がん補助療法開発の歴史┴ゲムシタビンの登場/拡大郭清手術の時代/拡大郭清から手術後の補助療法へ┴5 術後合併症を減らすために┴1 術後合併症との対峙とリスク管理┴合併症とは/術後の患者さんの容態の変化/肝臓の切除に伴う合併症/膵臓の切除に伴う合併症┴2 出血の少ない肝臓の切除をおこなうために┴出血の少ない肝切除の必要な理由/出血を減らす秘策/座って手術をする理由┴6 患者からの学び┴1 ある患者さんとの出会い┴学ぶ患者,ともに闘う患者/術後の生活/「患者力」を感じる/主治医として患者さんについて考えること┴2 再発と対峙する┴再発の告知/コンバージョン手術/患者さんと同じ方向を向く/化学療法,コンバージョン手術,そして,化学療法/坂井さんからの問い┴7 未来への課題┴1 リスクへの対峙と教育┴手術のリスク/術前診断と手術の適応/ビッグデータを用いた併存症と合併症の解析/リスクの高い手術を引き受けるために/リスクの高い手術での 離操作┴2 外科医の働き方を考える┴外科医の減少/外科医の働き方改革/腹腔鏡下手術の導入┴3 外科技術の伝承┴あとがき┴文献注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

103
著者は肝臓・膵臓の手術を主に活躍する外科医。前半は肝臓・膵臓・胆道の機能と手術、術後の化学療法について書かれていたが医学の知識がないものにとって難しい内容だった。しかしテレビドラマに出てくるような派手な外科医というのはいないということ。あくまで地道で辛抱強いのが実態のようだ。後半は患者からの学びという章があり膵臓がんになった患者との出会い、手術そして2年後に再発し亡くなるまでが書かれていた。ここを読むだけでも勝ちがあると感じた。がんは本人が一番辛いと思う。この本でガンについて理解が深められるといいと思う。2022/01/21

崩紫サロメ

16
肝胆膵外科医として大学病院で働く著者が、外科医の実際の仕事を綴ったもの。研修医時代の恩師から学んだことなど、門外漢が読んでも興味深い。本書には直筆の絵が多く挿入されているが、取捨選択やデフォルメをしながら手術図を描くことが重要であるという持論に基づくものである。これらの作業はドイツ、フランス、韓国、中国などでも毎回は行われていないらしい。写真は撮って置くが、それとは別に脳によるデフォルメが正確な理解につながるという主張、外科医でなくてもそういうことはあるかもしれない、など。2021/01/13

Akiro OUED

2
手術の場面を思い出しながら、手書きのスケッチを起こす。映像を手軽に撮れる時代でも、術式の本質を鉛筆描きのポンチ絵で表す、というのが興味深い。手書きの読書感想文にも意義があるんだろうね。著者自作のポンチ絵で、肝臓がんの術式の再現を冒頭においた本書の構成に、編集者の冴えを感じた。2021/11/29

伊達者

2
胆膵肝外科医の書いた本。他人ごとではない。手術や治療方針について最新の動向が記載されている。標準治療についても良く分る。義父の死から3年余り,治療方針も変化しているし,抗がん剤にも新しい動きがある。一流の医師らしい冷静で歯切れの良い文章。2020/12/01

Go Extreme

2
肝臓がん手術の一日 手術を描き記録する:脳が蘇らせる手術の風景/ゴールデンタイムのデフォルメ/手術イメージ再現の効用 他院での手術:手術の依頼/大切な我慢/患者さんの無事 肝胆膵外科の師との出会い:レジェンドのオーラ/師と弟子たち/フェアーな師 患者からの学び 学ぶ患者ともに闘う患者/術後生活/患者力を感じる/主治医として考える リスクヘの対峙と教育:手術のリスク/術前診断と手術の適応/ビッグデータを用いた解析/リスクの高い手術を引き受ける 外科医の働き方:外科医の減少/外科医の慟き方改革 外科技術の伝承2020/12/12

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