内容説明
うつむいていい。くじけていい。落ち込んでいい。
ここ一番は全力で光あび花ひらけ
アシのように風をかわし、ナズナのように冬を耐え、
花咲くときはハルジオンのように上向いて。
ベストセラー『生き物の死にざま』の農学博士が描く
静かにしなやかな植物の生きざま
・種は光を感じると芽を出す
・桜は寒さを経験したあと花を咲かせる
・ミツバチが花粉を運ぶスミレは紫の花を、ハナアブが運ぶ菊は黄色い花をつける
・タンポポは横に茎を伸ばして光を浴びる
・節ごとの成長点で竹は一気に伸びる
・松は針状の葉で水分の蒸発を抑え冬を越す
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
108
すっと心に響く言葉たち。物言わぬ植物からまたいろんなことを学べました。優しい絵もみていて心が落ち着きます。手もとに置いて折りにふれ開きたくなる一冊でした。 2023/11/13
モリー
78
「人間は逆立ちした植物である」ープラトン。「植物は逆立ちした人間である」ーアリストテレス。一見同じ事を述べているような二人の言葉が並べられたページで立ち止まりました。プラトンとアリストテレスが同じ事を言う訳がないからです。プラトンは理想主義者、一方、アリストテレスは現実主義者です。しばらく逆立ちして著者がこの言葉を並べた意図を考えようかとも思いましたが断念しました。このページより前の記述はプラトン的で、後半はアリストテレス的と言って良いかもしれません。いや、そうとも言い切れない?要再読です。良い本でした。2021/08/09
けんとまん1007
63
植物の在り様。その多様性は、目を見張るものがある。この本で取り上げられている言葉は、既知のものも多いが、改めて感じいること、考えさせられることが多い。置かれた環境の中で生き残るための術が素晴らしい。時間・季節・タイミングを踏まえた戦略でもある。深い思索につながる本。2021/10/02
ぽてちゅう
24
ベランダの排水口に枯葉や土埃がたまっていた。掃除する手を止めたのは、その場に不似合な若い緑の芽が1本ひょろっと伸びていたからだ。武士の情け。名を聞くまで待とう。結局聞けなかった。しばらくして、ツヤのある濃い緑の対生の葉がいくつか芽生えた。街路樹に似ているような気がした。こんなところに種が着地したのか。武士の情け。水を一杯。雨降らずの暑い日が続き、枯れてしまった。猛暑にエアコンがフル稼働。窓を開けることも少なくなったが、カーテン越しに緑色が見えた。エアコンの排水で渇きが癒えたようだ。(コメント欄に続く)→2022/07/19
田中寛一
22
植物に関わって偉人たちの名言がいろいろとあるものだ。竹の成長が早いのも節があるから、強くもあり成長も早いという。高橋尚子さんの座右の銘「何も咲かない寒い冬は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」もいいね。『タゴール詩集』に「花はその花弁のすべてを失って果実を見いだす」。美しい花に目を留めやすいが、花にとってはそれからあとの果実を作るところが大切な時間になる。さて私の節はどこにあるのだろう、華やかな生活のあと何が残せるのだろう。2021/08/22




