内容説明
親子関係は一筋縄ではいかない。古代天皇に平安貴族、戦国武将から僧侶まで、あっちもこっちも「毒親」「毒子」だらけ。子捨て、子殺しや性虐待は勿論のこと、きょうだいの殺し合いを招いたり、子の恋文を世間にさらしたり。父親に見殺しにされたヤマトタケル、子を母に殺された建礼門院徳子、実家にいびられ続けた小林一茶等々、系図上では、はかなく頼りない親子の縦一本線に込められた愛憎が、日本史に与えた影響を読む。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mazda
63
しょっぱなから出鼻をくじかれました。「イザナギ・イザナミという日本を作った夫婦神は、あらゆる児童虐待を行っている」…。なるほど。生まれた我が子が水蛭子だったので、葦船に入れて流したり、イザナミが亡くなるきっかけになったカグツチをイザナギが切り殺した、などが理由です。まず、水蛭子ですが、流れた後エビスとなり戻ってきているので、これを持って虐待というのか疑問です。カグツチに関しても、切られた血から様々な神様が生まれています。カグツチは火の神様なので、それくらい恐れられていたとも言えます。2024/08/14
香菜子(かなこ・Kanako)
20
毒親の日本史。大塚ひかり先生の著書。毒親はいつの時代にもいる。毒親は現代社会にしか存在しないというのは大きな勘違い。毒親の歴史は長い。日本の歴史においては子捨て、子殺し、孫殺し、虐待、殺し合いをする毒親がたくさんいた。自らの野心や欲望や保身のために子供をコントロールして子供を洗脳して子供を道具にように悪用乱用した毒親たち。形は違えどいつの時代も毒親は存在していて毒親に苦しめられる子供も存在している。 2022/10/08
ユウユウ
16
#読了 毒親こわ…2021/06/09
多津子
8
昔は当たり前だった、創作に出てくるのはその状況が多かったから、などもわかるが、時代背景や価値観の違いもあるから、全てを毒親で済ませるのはどうかとも思う。近松門左衛門話など親のせいにするのもどうかと思うし。だが兄弟間の待遇の差が戦に繋がることはあるし、出てくる毒親の事例が現代の定義に当てはまるというのも興味深い。北条政子が男児よりも大姫を大切にしたのは、平安期の女性相続の名残から、というのが面白かった。2022/01/29
いちじく
6
自分の中で歴史上代表的な毒親といえば護良親王を使い捨てた後醍醐天皇や源氏将軍を断絶させた政子だったが、この本を読むと確かに枚挙にいとまがない。蜻蛉日記の作者は典型的(成り上がりや没落で急激な階級移動を経験すると毒親になりやすいらしい)な毒親で日記は今でいうセレブの暴露本だったという。また保元の乱や家光の弟殺し、本願寺の分裂などは親の贔屓が原因であることは確かに周知の事実だが、視点を変えるだけでこんなにも面白く読めるとは。最近の研究者の著作から例えをひいているので説得力があるのがいい。2021/06/28