新潮文庫<br> 全電源喪失の記憶―証言・福島第1原発 日本の命運を賭けた5日間―(新潮文庫)

個数:1
紙書籍版価格
¥781
  • 電子書籍
  • Reader

新潮文庫
全電源喪失の記憶―証言・福島第1原発 日本の命運を賭けた5日間―(新潮文庫)

  • ISBN:9784101212166

ファイル: /

内容説明

東日本に大津波が押し寄せたあの日、濁流は福島第1原子力発電所をも飲み込んだ。全電源を喪失し制御不能となった原発。万策尽きた吉田昌郎所長は、一人一人の顔を眺めながら共に死ぬ人間を選んだ――。遺書を書き、家族に電話をかけ、嗚咽する人。現場に背を向けた人……。極限で彼らは何を思い、どう行動したか。絶望と死地を前にして揺れ動く人間を詳細に描いた、迫真のドキュメント。(解説・池上彰)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

gonta19

140
2018/3/15 Amazonより届く。 2019/5/21〜5/27 あの事故から8年。凄まじい記録である。現場の人たちの揺れ動く心、政府首脳の無能さ。今、大きな事故があっても、こうしてそれなりに暮らしていけている我々。全日本人が読むべき本。所長が吉田さんでよかった。ご冥福をお祈りします。 2019/05/27

しいたけ

128
「はじめに」で、英雄や美談を書くのではないと断ってある。「そもそも被害がさらに拡大しなかったのは単なる偶然に過ぎない」とも。正確な証言によって構築された記録であるはずの本書。それが人としての職務を全うした男たちの、崇高なドラマに仕上がってしまっている。所長の吉田昌郎は後に「事故を止めたのは最終的に人の力だった」と語っている。「単なる偶然」と突き放して見せた編著者は、丁寧に丁寧に「人の力」がもたらした奇跡を記録する。「俺と一緒に死ぬのは誰だ」。この答えを後に述懐した友へのメール。漢の優しさが堪らなく沁みる。2018/03/06

rico

88
元は共同通信が配信した連載記事。あの時福島第一原発で何が起きていたのか、当事者たちの証言に基づくドキュメント。実名ゆえの限界もある。口にしづらいこともあるだろうし、自分自身への正当化バイアスも働く。それでも、多くの証言を重ね合わせることで見えてくる貴重な真実がある。命がけで収束に向けて戦った人たちには、ただただ頭が下がる。でもそれは、あの事故への免罪符にはならない。東日本壊滅という最悪の事態までほんの紙一重だったのだ。原発を動かし続けるなら、必要といううなら、この事実にまず正面から向き合ってほしい。2021/04/08

かっぱ

38
かつて「原発安全神話」というものがあった。07年に保安院が10年間の運転延長を許可。町の企画調整課長は事故後に振り返り「各部門の担当者の話を聞くときっちりやっている。でも、小学生みたいな目線で『大きな津波が来たらどうするの』とか『物が倒れたらどうするの』とか、素朴に問いかけるべきだった」と語る。3号機の水素爆発で怯えて帰ってきた運転員。会議室のドアの閉まる音で飛び起き「これ爆発ですか!」と何度も大声で問いかけるその膝はがくがくと震えていた。想定される最悪のシナリオは東日本壊滅だった。いまも廃炉作業は続く。2018/07/20

piro

36
3.11福島第1原発の事故の様子を克明に描いた一冊。想像していた以上に過酷で危機的な状況であった事に愕然としました。いかにテレビなどのメディアが偏った伝え方をしていたのかもわかります。東電の責任云々は別として、正しく命を懸けて対応に当たった吉田所長をはじめとした現場の方々の勇気と責任感には頭が下がります。そして彼らがいなければ、今ここで生活をする事すら出来なかったかもしれないと思うとゾッとします。最終章、何度も涙が滲みました。吉田所長、殉職した職員の方々のご冥福をお祈りします。2018/08/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/12669550
  • ご注意事項