日経プレミアシリーズ<br> お殿様の定年後

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日経プレミアシリーズ
お殿様の定年後

  • 著者名:安藤優一郎【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 日経BP(2021/03発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784532264550

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内容説明

ご隠居様、それでは藩の財政がもちませぬ!
著述活動、文化振興、歌舞伎見物、庭園整備……
家督を譲った後も、彼らはアクティブに天寿を全うした。

 江戸時代は泰平の世。高齢化が非常に進んだ社会だった。そのうえ大名は充実した医療も受けられ、隠居後の長い人生を謳歌できる資産もあった。
 隠居すると、現役時代のように政治向きに関与することはほとんどなく、著述活動のほか、文化財の収集や保護などに力を入れるのが通例で、パトロンとして期待した文化人も集まってくる。そんな文化人のサロンをつくり文化事業を展開した。
 現役時代にはできなかった娯楽に興じるお殿様も多かった。隠居後は江戸で余生を送るのが定番で、上屋敷を跡継ぎに譲り、巨大庭園のある中屋敷や下屋敷が生活の拠点となる。屋敷外での行動も束縛がなくなり、歌舞伎小屋に連日通う事例もみられた。江戸は日本最大の娯楽街であり、お殿様たちが江戸での隠居生活に憧れる大きな理由にもなっていた。
 文化や娯楽に投じた費用が巨額にのぼり、藩の財政を傾かせる要因となった事例まである。例えば、徳川光圀が端緒を付けた『大日本史』編纂は水戸藩の財政に重くのしかかった。また、『大日本史』編纂を通じて創り上げられた水戸学は歴史を動かす原動力となったことは、はからずも幕末の歴史が証明している。政治への影響力も見逃せないのである。
 権力に未練を残しつつもそれぞれの事情で家督を譲った後、藩主時代にはできなかった趣味に没頭するなどアクティブに活動した彼らの姿を通じ、知られざる歴史の一面を描き出す。

目次

プロローグ 隠居という名の「定年」制

第1章 大名のご公務――江戸と国元の二重生活
 1 隠居と家督相続のルール
 2 堅苦しい江戸での生活

第2章 水戸藩主徳川光圀――水戸学を創った名君の実像と虚像
 1 苦難の藩主時代
 2 『大日本史』編纂に込めた光圀の狙い
 3 水戸学の誕生

第3章 大和郡山藩主柳沢信鴻――庭いじりと歌舞伎の日々
 1 六義園の整備と多彩な恵み
 2 園の意外な活用法
 3 芝居に熱中する

第4章 白河藩主松平定信――寛政改革後の多彩な文化事業
 1 栄光の前半生
 2 文化事業を支えた絵師たち
 3 文化財の保護に努める
 4 隠居後の定信

第5章 肥前平戸藩主松浦静山――『甲子夜話』執筆に捧げた余生
 1 実らなかった猟官運動
 2 下屋敷での隠居生活
 3 『甲子夜話』執筆に込めた思い

第6章 薩摩藩主島津重豪――蘭癖大名による文明開化
 1 薩摩藩の開化政策
 2 隠居に追い込まれる
 3 藩政への復帰

エピローグ 幕末の政局を動かした隠居大名

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みこ

23
タイトル通りの一冊。水戸黄門はお殿様時代の前半生ですらあまりよく知らなかったが、若い時に感じた苦さが後半生に生きてきたようだ。松平定信は娯楽のごの字も知らない堅物だと思っていただけに文化保護に尽力した後半生は意外。でも、お坊ちゃまだから芸術に理解や素養があったとの説明はなんか納得。柳沢信鴻の芝居を観に行く時に自分は歩いて奥さんは籠に乗せてという話はなんか良い。藩の金で道楽したことを差し引いても悪い人ではなかったのだと思う。2021/04/18

かっこちゃん

14
隠居が定年。自分で決められるのは良いけど、70才位?長丁場。定年後のアレコレで、藩の財政を圧迫した御仁も多かったみたい。まあ、堅苦しいお勤めをやっと終えて、やれやれ終わった終わった、さあ❗ってのもわかるけど。2021/08/22

MASA123

13
おもしろかった。松平定信の「寛政の改革」では、質素倹約で、洒落本や遊興なども禁止された。そして改革の途中で定信は突然の失脚、このとき36歳なのです。その後白川藩主に専念し55歳で隠居、72歳で死去。幕政から離れた定信は、政治風刺や遊郭題材ではない作品を厚く保護し、江戸文化のパトロン的存在だったそうだ。定信57歳の時に、当時21歳の水野忠邦が定信に会いに来ている。忠邦は定信に憧れていたのだ。定信死去から12年後の1841年に天保の改革が始まる。 大和郡山藩主の柳沢信鴻(のぶとき)は>>コメントへ続く2022/11/29

Go Extreme

2
隠居という名の「定年」制 大名のご公務―江戸と国元の二重生活 隠居と家督想像 堅苦しい江戸での生活 水戸藩主徳川光圀―水戸学を創った名君の実像と虚像 苦難の藩主時代 水戸学の誕生 大和郡山藩主柳沢信鴻―庭いじりと歌舞伎の日々 六義園の整備と多彩な恵み 芝居に熱中 白河藩主松平定信―寛政改革後の多彩な文化事業 栄光の前半生 絵師 文化財の保護 隠居後 肥前平戸藩主松浦静山―『甲子夜話』執筆に捧げた余生 下屋敷での隠居生活  薩摩藩主島津重豪―蘭癖大名による文明開化 幕末の政局を動かした隠居大名2021/04/10

moru

1
やってることは今も昔も変わらないと思った。 水戸黄門様の知られざる実態や、 兼六園の名付け親が松平定信だったとは驚きである。2021/04/02

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