戦後経済学史の群像:日本資本主義はいかに捉えられたか

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戦後経済学史の群像:日本資本主義はいかに捉えられたか

  • 著者名:野原慎司【著】
  • 価格 ¥2,178(本体¥1,980)
  • 白水社(2021/03発売)
  • ポイント 19pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784560098172

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内容説明

「近代化」と「豊かさ」をめぐる思索

「日本資本主義」という〈問題〉がかつて存在した―。
明治以降の日本社会は、マルクスが捉えた資本主義の発展図式と異なるのではないか。もしそうだとしたら、日本社会はどのような資本主義社会であり、現状、どの段階にあるのか。
こうした論点をめぐり1920年代から30年代にかけて「日本資本主義論争」が起こる。さらにこの論争は、封建社会から資本主義社会への移行の問題として「大塚史学」に引き継がれる。
そして戦後社会科学は、この日本資本主義論争と大塚史学を揺籃に歩み始める。
そこで追求されたのは、日本資本主義の構造把握を通じた「近代化」と「豊かさ」の実現である。もちろん、どちらも戦時下の「生産力」の増強という要請の変奏曲でもある。
本書では、内田義彦、大河内一男、高島善哉、小林昇、水田洋、伊東光晴という戦後経済学の巨人に即して、日本資本主義がいかに捉えられたかを解明する試みである。
それは同時に「戦後」とはどんな時代だったかを明らかにすることでもある。日本資本主義が問われなくなったとき、戦後が終わったとも言いうるからだ。社会科学が輝いた時代へ赴く、渾身の書下ろし。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

37
6人の経済学者を紹介しつつ、「日本型資本主義」とは何なのかを考察する。そもそも日本は西洋で生まれた資本主義を「輸入」した。マルクス経済学の全盛期には、ブルジョア革命を経た2段回革命を目指す講座派と、既に資本主義社会であり、プロレタリア革命を直接の目指す労農派による論争があった。社会主義というオルタナティブが存在していた戦前もしくは戦後の初めは資本主義の分析はわかりやすく、大掴みで捉えることができた。いまはそれがなくなったから、経済学が難解で面白くないのだろう。恥ずかしながら知っていたのは伊藤光晴のみ。2021/07/10

Mealla0v0

5
戦前・戦中から戦後にかけて活躍した経済学者――内田義彦・大河内一男・高島善哉・小林昇・水田洋・伊東光晴――の経歴と思想が紹介・検討されている。明治に始まる近代化以降、日本資本主義はどの程度発達したのか。戦前、日本マルクス主義者は、既に資本主義が発達しており革命は間近とする労農派と未だ不十分なブルジョワ資本主義の確立を経た上での革命を主張する講座派との論争を行った。こうした問題構成は戦後においても続くが、高度経済成長がもたらす変化の意味が問い続けられた。今となっては過去の言説だが、検証すべき課題である。2021/07/28

Go Extreme

3
経済学史家への焦点 場所の理論 戦後とは何だったのか 戦後:大きな物語が有効であると信じていた時代 近代化への妨げは何か 労働待遇の改善をどう実現できるか 社会をどう変えるか 豊かさの達成に必要な前提とは何か 真の平等とは何か 市場は効率的に機能するか 研究の細分化・現代批判の共有言語の喪失→現代批判が批判を超えて何らかの共有された理想・目標へと結びつき難い時代・資本主義を超える統一像を打ち出せず2021/01/27

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