内容説明
1908年創刊『婦人之友』の愛読者組織、「全国友の会」。家事の無駄を省き、余剰の時間や物を社会に還元することを目指すその活動理念、「生活合理化」とはどこから来た思想であったのか。「合理化」をキーワードに家庭と産業の歴史を重ね合わせ、その背後にある近代化のダイナミズムを生き生きと描き出す点で出色の一書である。
目次
はじめに
序章 『婦人之友』愛読者組織「全国友の会」とは
第一節 家庭は簡素に社会は豊富に -生活合理化というキーターム
第二節 『婦人之友』・自由学園・「全国友の会」 -創設者羽仁もと子とその関連団体
第三節 「全国友の会」の歴史から何が見えるのか -史料と分析視点
第一章 生活合理化への助走 -明治・大正期の『婦人之友』
第一節 羽仁もと子の思想形成 -「家庭」「生活」へのこだわり
第二節 『婦人之友』の読者層 -近代的家庭の形成を目指す知識階級の妻たち
第三節 関東大震災後の「生活を簡素に」という気運の高まり
第四節 『羽仁もと子著作集』創刊による羽仁もと子思想の明文化
第二章 知識階級の妻たちによる啓蒙運動 -戦前・戦中・戦後:一九三〇-一九五四
第一節 「合理化」という言葉の登場と背景
第二節 婦人による実践団体として始動した「全国友の会」
第三節 戦時体制下の活動 -家事家計指導「十人組」
第四節 戦後復興と農村生活の近代化 -「われらの衣食住展覧会」
第三章 専業主婦による暮らしのカイゼン -高度経済成長期:一九五五-一九七四
第一節 核家族化と衣食住の急激な変化
第二節 主婦の教本としての婦人雑誌ブームと『婦人之友』
第三節 会員数の急増と活動の全国統一化 -「家庭生活展覧会」「家事家計講習会」
第四節 暮らしのカイゼンサークル機能 -生活合理化のための家庭という現場
第四章 伝承の技としての生活合理化 -個人消費の時代:一九七五-一九九四
第一節 個人消費化の潮流に逆行する「全国友の会」 -伝承の技となる生活合理化
第二節 会員数の減少と会員層の限定化 -転勤族妻たちの受け皿と主婦アイデンティティ形成の場に
第三節 社会活動への使命感の維持 -バングラデシュ交流事業
第五章 生きるための基礎としての生活合理化 -危機管理時代:一九九五-
第一節 現在の「全国友の会」 -組織構造と活動内容
第二節 生活合理化の再評価 -被災者支援活動と「スーパー主婦」
第六章 生活合理化と近代化のダイナミズム
おわりに
付録資料(2) 町田友の会規約
付録資料(1) 全国友の会規約
参考文献・参考史料
年表
人名索引
事項索引