「社会の決まり」はどのように決まるか

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「社会の決まり」はどのように決まるか

  • 著者名:亀田達也
  • 価格 ¥3,300(本体¥3,000)
  • 勁草書房(2021/03発売)
  • ポイント 30pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326349166

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内容説明

法律のような明文化されたルールから、暗黙裡に共有される「~すべき」という信念に至るまでの様々な社会規範は、重要な文化的装置であると同時に、動物とヒトの社会を区別する上で最も重要な鍵でもある。社会規範の成立と維持を支える人間の特性について、生物学者と社会科学者が、分野を超えた研究連携の具体的な展開を示す。

目次

フロンティア実験社会科学 刊行にあたって
はじめに

序章 「社会の決まりはどのように決まるか」という問い[亀田達也]
 1.「血と爪」vs.社会規範
 2.霊長類の脳進化と群れサイズ
 3.コーディネーション問題と秩序問題
 4.本巻の構成

第1章 協力の進化――人間社会の制度を進化生物学からみて[巌佐庸]
 1.はじめに
 2.ヒト以外の動物での協力
 3.評判によって協力を維持する
 4.さまざまな発展
 5.湖水の水質改善問題――生態系と人々の選択の結合ダイナミックス
 6.累進的処罰
 7.おわりに

第2章 集団における協力の構造と協力維持のためのルール――進化シミュレーションと聞き取り調査[中丸麻由子・小池心平]
 1.はじめに
 2.進化シミュレーションによるAll-for-one構造の解析
 3.佐渡島における現代の頼母子講や相互扶助の事例調査
 4.聞き取り調査と進化シミュレーションから
 補遺

第3章 規範はどのように実効化されるのか――実験的検討[高橋伸幸・稲葉美里]
 1.はじめに――規範,社会的ジレンマ,実効化
 2.規範実効化の代表的な方法としてのサンクション
 3.二次のジレンマ問題
 4.コストのかからない規範の実効化
 5.規範の実効化は別な行動の副産物か?
 6.今後の展望
 7.結び

第4章 間接互恵性状況での人間行動[真島理恵]
 1.はじめに
 2.なぜ利他行動が存在するか?
 3.利他行動の適応的基盤
 4.間接互恵性の実証研究
 5.一次・二次情報を統制した間接互恵性実験
 6.実証データから理論へ

第5章 人間と動物の集団意思決定[豊川航]
 1.はじめに――集団意思決定という普遍的な現象
 2.集団意思決定を捉える2つの軸
 3.集約型意思決定
 4.合意型意思決定
 5.集団意思決定研究の展望

第6章 集団の生産性とただ乗り問題――「生産と寄生のジレンマ」からの再考[亀田達也・金ヘリン]
 1.はじめに
 2.秩序問題と社会的ジレンマ
 3.社会的ジレンマは普遍的か?
 4.生産者-寄生者ゲーム
 5.結論

索引
執筆者紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ソーシャ

5
社会規範の形成について、適応論の見地からの研究をその第一人者たちが紹介した本。シミュレーションやフィールド研究、動物行動学の知見など幅広い見地からの研究がまとめられている内容の濃い一冊です。2015/02/18

Moloko

4
社会規範の実効化や共有地の悲劇の回避としてオストロムの共同執行的権力は知っていたが、エージェントを用いたシミュレーションや学生等を用いた実験や社会での実証研究によってどうやって社会規範が人々に守られるかがより深く考察できて面白かった。違反者や非協力者に罰を与えて彼らの利得を下げるから社会規範が成り立つという説も反証されつつあり、つまりコストや更なる反逆を招くような処罰よりも非協力や注意のような警告的な対応がより現実的であり、更に協力による利得が逓減的な社会設定で協力・非協力が決まる可能性が示唆されている。2018/02/17

南チョ

1
社会の決まり(社会規範)がどのように実効化されるかについて研究された内容をまとめた本です。非常に面白いテーマで、勉強になりました。特に、課題に対して協力しない人を罰することで、規範を実効化するということ。このときの罰は、明確なものではないことも多いということ(直接的に罰するのではなく、協力者に正のフィードバックを与えることで間接的に非協力者を罰する)が面白かったです。 第2章の、頼母子講の話は、冗長に思えました。要点だけで良かったように思います。2021/03/16

こずえ

1
社会規範の形成がどのような過程を経て作られるかを詳細に書いてある。社会学や、法学部で規範について興味がある学生向け。1年生からでも読めると思う。2018/02/18

Ryosuke Tanaka

1
両端章はエキサイティングだったが中間章は既存のモデルの重箱の隅的研究に終始している印象を受けた。個体レベルでの適応からマクロ現象を説明する、という社会心理学のプログラムの枠組みにとって、他分野のモデルにひろく目配せすることとその適用条件(適応主義の仮定がどこまで妥当か)を考えることは不可欠だと思われるが、あんまりそういうことを考えている人は国内にはいないのだろうか。2016/01/01

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