個人化するリスクと社会 - ベック理論と現代日本

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個人化するリスクと社会 - ベック理論と現代日本

  • 著者名:鈴木宗徳
  • 価格 ¥3,740(本体¥3,400)
  • 勁草書房(2021/03発売)
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  • ISBN:9784326653911

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内容説明

90年代後半以降、日本社会は「第二の近代」へと突入したと言える。労働の柔軟化、未婚化・晩婚化の進行、社会的孤立、自己責任論の跋扈など、さまざまな領域において生じた一連の現象を、本書では個人化という統一的な観点から説明を試みる。現実・理論・政策を包括的に把握し、日本社会の進むべき方向を照らし出す。

目次

はじめに

序章 ベック理論とゼロ年代の社会変動 鈴木宗徳
 1 ベック・テーゼを問いなおす
 2 個人化論が受容された背景
 3 負の個人化を越えるために
 4 ゼロ年代の社会変動と個人化
 5 本書の構成
 6 本書の問題提起

第I部 個人化する日本社会の課題
第一章 社会学史における個人と社会 -社会学の課題の変容とそれへの理論的格闘 伊藤美登里
 1 問題の変容としての個人化
 2 第一の近代における個人化
 3 第二の近代における個人化
 4 社会学史における個人と社会

第二章 社会の構造変化と家族 -「家族の機能」再考 伊藤美登里
 1 社会のなかの家族
 2 第一の近代における家族
 3 第二の近代における家族
 4 機能の選択制へ

第三章 日本型企業社会とライフコース -その成り立ちと個人化による揺らぎ 鈴木宗徳
 1 階級意識と中流意識
 2 家族を抱え込む企業主義的統合
 3 ベック理論と集団主義
 4 年功型賃金と企業別組合
 5 企業によるアイデンティティ付与
 6 ライフコースの標準化
 7 学校から職業への移行
 8 雇用保障の崩壊
 9 二つの家計負担の改革を
 10 移動の自由を保障する社会へ

第四章 資本主義経済システムにおける人間関係の外部性 石田光規
 1 経済システムと人間関係
 2 資本主義経済システムと外部不経済
 3 人間関係と資本主義経済システム
 4 対処法の検討

第II部 個人化という謎を解き明かす
第五章 後期近代における監視社会と個人化 -子どもの「見守り」技術の導入・受容に着目して 野尻洋平
 1 現代日本における監視社会と個人化
 2 「子どもの安全」をめぐる動向と「見守り」技術の導入
 3 監視社会の情報化
 4 「第二の監視社会」と個人化のメカニズム
 5 監視社会からの解放/監視社会への強制

第六章 個人化社会における孤立と孤立死 石田光規
 1 関係からの撤退の自由と希薄化の狭間で
 2 孤立死とその対策
 3 個人化社会における孤立死問題の焦点
 4 孤立死をめぐる自己決定問題
 5 介入に付随する諸問題
 6 孤立死問題への対応と善き社会に向けて

第七章 道徳による貧困層の分断統治 -一九世紀福祉史と個人化 鈴木宗徳
 1 個人化と自己責任論
 2 自己責任論がまとう道徳性
 3 一九世紀フランスにおける後見とパトロナージュ
 4 モラル・パニックとしての生活保護バッシング
 5 一九九六年クリントン改革の背景
 6 依存を否定するイデオロギー
 7 一九世紀イギリスの救貧政策における道徳化
 8 普遍的問題としての道徳化/パターナリズム
 9 二つの時代をつなぐ「依存の系譜学」
 10 ソーシャルワークにおける道徳性の除去

第八章 日本型市民社会と生活保障システムのセカンドモダニティ -二つの個人化と複数性の条件 仁平典宏
 1 ベック理論との「出会い損ね」について
 2 日本型生活保障システムの再編
 3 国家からの政治的自律と日本型市民社会
 4 複数性へと開かれるために -二つの個人化の相克を超えて

終章 個人化のパラドクスを超えるために 鈴木宗徳
 1 再家族化と闘う
 2 移動の自由と市民社会セクターの豊穣化
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

魚京童!

7
希望を述べよ。2015/02/28

Y10i

2
個人化についてたどる。リスク社会において中間でセーフティネットとしての役割を持つ家族とのつながりも分裂してきた現代。ベックの解く第一次近代、第二次近代に区切りをつけると、前者は封建体制の中ぱとろなーじぇという無償のアリストクラシーに基づいた慈悲でその役目をたどっていた、市民社会互酬性の思想、観点から生活保護バッシングのような性格が色濃くでて労働者のコモディティ化は自己責任の桎梏を据えた。2015/03/28

Akinobu Otani

1
良書。2015/03/03

MaRuTaTSu

0
「自立とは依存先を増やすこと」であり、”自立”といわれるのは、実は膨大なものに依存しているにもかかわらず「私は何にも依存していない」と感じられる状態のこと。2016/05/23

0
自己責任論  自分の選択の結果 だけどその選択は限られた選択肢のなかから 限られた資源のなかから 2021/06/25

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