内容説明
キリスト教に初めて接する学生を対象としたテキストとして、旧約聖書から新約聖書へのつながりを明らかにしつつ、民衆がキリストを待望し、それがイエスにおいて実現する道筋を示す。また聖書にある著名なエピソードを現代にも通じる一般的な人間の振る舞いとして分析し、それがわれわれにとってどのような意味を持つかを紹介する。
目次
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推薦のことば
はじめに
第1章 現代とキリスト教
1 科学の時代にキリスト教を学ぶ意義
2 聖書とイエス・キリスト
3 聖書の世界――意味論的解釈
4 聖書の構成と概要
第2章 私たち人間の根本問題
1 人間の関係性――「イマゴ・デイ(神の像)」の意味するもの
2 アダム物語――関係性と高慢
3 カイン物語――自尊心と嫉妬
4 バベルの塔物語――関係性と権力欲
第3章 旧約聖書の文学――「救い主・キリスト」待望論への道
1 アブラハム物語――関係性回復の使命と信仰
2 ヨセフ物語――関係性回復と思考的次元
3 出エジプト物語
4 ダビデ物語――関係性回復にとってのリーダーの在り方
5 「ソロモン王から南北王朝」物語
6 預言者の活動――体制批判と「救い主・キリスト」待望論
第4章 イエスとキリスト――キリスト教の誕生
1 イエスの死後にキリスト教が誕生したなぞ
2 イエス・キリストに対する2つの信仰
3 イエス・キリストの復活
4 イエス・キリストの神性と人間性――まことの神・まことの人
第5章 新約聖書の文学――豊かな内容への福音の拡張
1 イエスの説く「神の国」
2 弟子たちの選び
3 手本としての主体的愛――「我と汝」「アガペーとエロース」
4 イエスの生命を賭けた無条件の赦し
5 イエスによる全人間性回復の癒し
6 「ゲッセマネの祈り」に示されるイエスにとっての苦難の意味――喪失と癒し
7 イエスの死に見る逆説的勝利
第6章 新約聖書の示す希望――イエス・キリストを信じる者の幸い
1 逆説的弱さ――恵みを体験する「実存」としての弱さ
2 実存的自由――近代の人権的自由と実存的な救済的自由
3 真の平和を目指して――世界人権宣言の基礎となっている聖書の示す「平和――シャーローム」
4 永遠の生命への希望――美しい新しい国・世界への旅立ち
5 福音のエイジェント――教会とは
註
むすび
索引