らせん状想像力―平成デモクラシー文学論―

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らせん状想像力―平成デモクラシー文学論―

  • 著者名:福嶋亮大【著】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 新潮社(2021/03発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784103535614

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内容説明

平成年間、日本文学はグローバル商品として拡散する一方、インターネットの浸透により市場は収縮した。明治以来の制度が根本的な変容を迫られる中、「私」は異常化し、「世界」はディストピアに変わり、「言語」は世俗化され、作家たちの意識は迷宮化し渦を巻く……圧倒的なスピード感でテキストを読み抜いてゆく思考の冒険!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

hasegawa noboru

12
近すぎて見えないということもあるだろう。<メディア環境の変化のなか><昭和と比べて、平成における文学の社会的役割が縮小したのは明らか>そんな平成という時代の文学作品の多数を文学史のなかに位置づける。大変な力業だ。例えば平成になって<文学でも地滑り的な歴史回帰が生じた>として村上龍『五分後の世界』(一九九四年)から橋本治『草薙の剣』(二〇一八年)まで、一九名二二作品をズラリと挙げて<虚構の歴史化/歴史の虚構化の傾向を示している>と断じて第六章を始める。昭和末期八〇年代にはむしろポストヒストリカルな態度のほう2021/10/07

田中峰和

5
平成文学を大正文学の再来と捉えた著者の発想が面白い。大正期にはデモクラシーの運動があり、ユートピア文学があった。一方、平成期のデモクラシーはインターネットによって形成された。両時期に共通するのは大震災だが、後者にはディストピアとグローバリズムが唱えられた。二つの時代がらせんを描くように交差しているに感じるという。著者が平成期の代表作家として作品を評価分析するのは、村上春樹と村上龍。村上龍への思い入れは一ファンとも弟子ともいえるほど。村上龍の近作「MISSING」の評論を読み、作品を読んでみたくなった。2021/01/29

梟をめぐる読書

5
平成という時代を特権化するのではなく、大正や昭和との相対化によってその特殊性を浮上させようという試み。抽出されるテーマや作品の選定は著者の関心に偏っている印象を与えるものの、九〇年~ゼロ年代を文学と共に過ごした読者なら馴染みのある作家の名前が大多数を占めており、カタログ的な楽しみもある。一〇年代の代表作は、良くも悪くも『コンビニ人間』になってしまうのか。一〇年代後半の純文学作家が第二次安倍政権を特権的な「悪」に仕立てることによってディストピア的想像力に傾斜していった流れは押さえておいてほしかったかな。2021/01/21

chiro

3
平成という時代は経済において我国の閉塞感を助長させた時代であるとともに『失われた時代」として記憶されている。その時代背景を如実に表すであろう文学というジャンルがどういう作家たちによって彩られたのかについて述べられている。昭和の時代から平成を迎えた作家や平成の時代に現れた作家など出自は異なってもそこに何らかの傾向が現れていることは明らかで、それがどういう形で表出しているのかがよくわかる著作であった。読んだことのない作家についても評価が高いものがあり手にしてみたいと思う。2021/02/16

村雨春陽

3
平成文学の特性を「病的な主人公」「デストピアとしての社会」に見出してしまうのはどうだろうか。同じことを芥川龍之介や神西清、梶井基次郎にも言えるのではなかろうか。また元少年Aの『絶歌』を論じながらその煙草を吸い生きようと決意する結末が三島由紀夫の『金閣寺』のパロディであること、何故か巧みな書き手であること、ダフネ君の怪しさに気が付かないことは杜撰。文芸批評の役割が文学作品に時代を見出してしまうことだという思い込みがなければ平成文学という括りは現れなかっただろう。所々達者だが、近代文学の捉え方が曖昧だ。2020/11/03

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