内容説明
自分を弄んだ男性教師を追ってたどり着いたインド・ガンジス河岸の聖地。傷心の女子大生は、ここでも「象牛」なる謎の存在に翻弄される。果たして彼女はこの懊悩から解脱できるのか――表題作の他、大阪「比ラカ駄(ひらかた)」を流れる淀川河岸を舞台に、恋に似た短く激しい熱情を描く「星曝し」を収める、芥川賞受賞後初の作品集。※「ラ」は手偏に「羅」、「カ」は「加」の下に「可」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
197
芥川賞受賞作「百年泥」に続いて、芥川賞受賞後第一作、石井 遊佳、2作目です。「百年泥」の延長線上の表題作『象牛』と『星曝し』の二本立てでした。著作の世界観は嫌いでないですが、これでは売れません。売れない芥川賞作家まっしぐらです(笑) https://www.shinchosha.co.jp/book/351532/2020/10/24
いたろう
63
「百年泥」で芥川賞受賞後1作めの表題作他1編。表題作の舞台は、「百年泥」同様、虚実取り混ぜたインド。象牛とは、インドにいる象のような長い鼻の、牛のような山羊のような、人声をまねることができ、形も変わる(!)動物。インド学研究室担当教官の片桐を追いかけて、インドまでやって来た大学生の「私」だったが、片桐に会えないまま、ヴァーラナシーの街で、象牛や男根のようなリンガ茸に囲まれて、昔を思い出す。怪しさ満点だが、「百年泥」よりもインドならこんなものもあるかもと妙に納得してしまいそう。「百年泥」より本作の方が好き。2020/12/31
ぽてち
31
ちょっと衝撃的にわけのわからない2篇を収録した1冊。タイトルの「象牛」はインド、もう1篇の「星曝し」は大阪を舞台にしている。そもそも“象牛”とはなんぞや? というところから始まり、男女の生殖器にそっくりな“リンガ茸”なる生物も登場する。普通に読めばまあ真っ当な小説ではあるのだが、なにしろ生も死も性も渾然としたインドで、謎の存在と共に時空も入り乱れているので先の感想となった次第。「星曝し」も相当に奇っ怪な話であった。この作家さん、好きかも。2021/03/13
抹茶モナカ
27
図書館から借りて読んだ。マジック・リアリズムでござい、という、いかにも感は薄れているものの、軸足はそこにある作家さんなんだろう。ストーリーが追えそうで追えない散文的な部分は、純文学だから仕方ないと捉えるか、不親切と取るか、読み込み不足と取るか、微妙な所。面白くなって来たかな、と思ったら、滲んでしまう。2020/12/10
とら
26
わたしの心象は、象牛とかいう不思議なものがウヨウヨしているガンジスの岸辺を彷徨う。 ナマスカール、バスバス… そうだ、以前買ったDVD「旅猿インド篇」をもう一度見よう 「星曝し」七夕が来ると過去と今がいっしょこたにぐるぐるとかき回されて、ホイと目の前に提示される。これが繰り返され、何事も受け入れられていく。隣の母さんが自分の母さん然としての日常が続く。もはや、こだわりや慣習もへったくれもない世界だ。気持ちがいい。2021/07/05
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