内容説明
世界最大の石油埋蔵量を誇る産油国ベネズエラ。だが、戦争や自然災害とは無関係に経済が縮小を続けている。その間、治安は悪化、食料供給や医療制度も崩壊の危機にある。四〇〇万人以上が陸路国外に脱出し、シリアに次ぐ難民発生国となった。かつて二大政党制を長期間維持し「民主主義の模範」とされた同国に何が起こったのか――。本書は、チャベス大統領就任以降、権威主義体制に変容し、経済が破綻に向かう二〇年間の軌跡を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
56
チャベス期から現在のマドゥロ政権下の混迷するベネズエラ情勢を分析した労作。現地滞在歴も豊富な専門家らしく、詳細なデータに基づく論考で、特に近年の困難な状態については胸を打たれる。が、敢えて複眼的に見れば、本書だけでこの国の置かれた立場が分かったと思うことの方が危険かもしれない。チャベスが高い支持によって政権を奪取し、「貧困の解消」という目標をある程度達成したここは本書にもある。しかし、なぜチャベスが政権を取れたかは前政権の状況如何だと思うが、その点の記述は薄い。むしろポピュリズム的手法の勝利という印象だ。2021/01/27
なかしー
46
大体の悪化した要因分析すると前政権のチャベス政権からやってきたことであり、かつそれを踏襲したことでさらに悪化したことは分かった。 自国の原油取引量を他国からの債務の担保にして、外貨を獲得して輸入しまくった結果、自国産業が育たず、コロナで原油価格が下がった瞬間、借金の目処がつかなくなり、首が回らなくなった経済。 日本から見える?(国際情勢に詳しい方は知っているかも?)急なマドゥロ拘束事件だが、実は結構前から再三に渡り、麻薬取引関連の疑いが掛けられており居場所を見つけ次第身柄送検するいつ?するか状態だった。2026/02/01
HMax
37
数年前に対岸のキュラソーには旅行で行ったことがあるけれど、全く知らない国ベネズエラ。チャベスが大統領になってから20年もかからず南米の優等生から、日本の150倍の殺人発生率、国民の6人に1人が国外脱出、WJP最下位、国民64%が平均11㎏体重減、2016年から3年でGDP半減、等々、世界最低国(北朝鮮を除く)に転落。民主主義が溶解すると政権維持や富の収奪のための経済制度を生み、やがて衰退。2026/01/18
BLACK無糖好き
20
混迷するベネズエラの内情をコンパクトに詳説。チャベス前大統領の政権運営に根本的要因があるという。注目したのは以下2点。①石油政策:ベネズエラ国営石油会社は投資よりも国庫への資金提供が優先され国の債務の肩代わりもさせられ、メンテナンス不足などによる稼働率の低下から産油量が大きく減少した。②軍の政治化:チャベス、マドゥロ両政権に忠誠を誓う軍人に経済的恩恵の大きいポストを割り当て、政権に批判的な軍高官は逮捕される。キューバの協力を得て軍内部へのインテリジェンス活動強化。◇ハイパーインフレの怖さも衝撃的。2021/11/08
coolflat
19
244頁。マドゥロ大統領はチャベス大統領が成し遂げられなかった「ボリバル革命」を忠実に推進すべく、後継者として指名された。マドゥロの政治理念や政策には基本的には、チャベスの路線をほぼそのまま踏襲しており、厳しい状況下でそれを死守しようとするがゆえに、政治は権威主義化を深め、経済は破綻へと向かった。そのためマドゥロ期の諸政策を理解するにはチャベス期に立ち返る必要がある。またマドゥロ期に加速的に悪化したインフレ、モノ不足、外貨不足などの問題はマドゥロ期に始まったものではなく、チャベス期に既に顕著になっていた。2024/06/15
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