中公選書<br> ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済

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中公選書
ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済

  • 著者名:坂口安紀【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 中央公論新社(2021/02発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121101150

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内容説明

世界最大の石油埋蔵量を誇る産油国ベネズエラ。だが、戦争や自然災害とは無関係に経済が縮小を続けている。その間、治安は悪化、食料供給や医療制度も崩壊の危機にある。四〇〇万人以上が陸路国外に脱出し、シリアに次ぐ難民発生国となった。かつて二大政党制を長期間維持し「民主主義の模範」とされた同国に何が起こったのか――。本書は、チャベス大統領就任以降、権威主義体制に変容し、経済が破綻に向かう二〇年間の軌跡を描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

56
チャベス期から現在のマドゥロ政権下の混迷するベネズエラ情勢を分析した労作。現地滞在歴も豊富な専門家らしく、詳細なデータに基づく論考で、特に近年の困難な状態については胸を打たれる。が、敢えて複眼的に見れば、本書だけでこの国の置かれた立場が分かったと思うことの方が危険かもしれない。チャベスが高い支持によって政権を奪取し、「貧困の解消」という目標をある程度達成したここは本書にもある。しかし、なぜチャベスが政権を取れたかは前政権の状況如何だと思うが、その点の記述は薄い。むしろポピュリズム的手法の勝利という印象だ。2021/01/27

BLACK無糖好き

20
混迷するベネズエラの内情をコンパクトに詳説。チャベス前大統領の政権運営に根本的要因があるという。注目したのは以下2点。①石油政策:ベネズエラ国営石油会社は投資よりも国庫への資金提供が優先され国の債務の肩代わりもさせられ、メンテナンス不足などによる稼働率の低下から産油量が大きく減少した。②軍の政治化:チャベス、マドゥロ両政権に忠誠を誓う軍人に経済的恩恵の大きいポストを割り当て、政権に批判的な軍高官は逮捕される。キューバの協力を得て軍内部へのインテリジェンス活動強化。◇ハイパーインフレの怖さも衝撃的。2021/11/08

ナン

16
チャベス時代の政策やベネズエラの今の混迷について、わかりやすく書かれており良書。石油収入を背景とした社会開発などチャベス政権時代の政策については何となく肯定的に考えていたが、それらが今の混迷につながっていることがわかったのが一番の収穫。掲げていた理想がどんなに素晴らしくても、今のひどい状況を見るとハイエクの『隷従への道』を地で行くよう。経済左派的政策と参加民主主義は、今の日本にも必要ではないかと思ってはいるが、残念ながらこれは一つの失敗例として参考になるかもしれない。2022/01/22

coolflat

15
244頁。マドゥロ大統領はチャベス大統領が成し遂げられなかった「ボリバル革命」を忠実に推進すべく、後継者として指名された。マドゥロの政治理念や政策には基本的には、チャベスの路線をほぼそのまま踏襲しており、厳しい状況下でそれを死守しようとするがゆえに、政治は権威主義化を深め、経済は破綻へと向かった。そのためマドゥロ期の諸政策を理解するにはチャベス期に立ち返る必要がある。またマドゥロ期に加速的に悪化したインフレ、モノ不足、外貨不足などの問題はマドゥロ期に始まったものではなく、チャベス期に既に顕著になっていた。2024/06/15

Toska

9
「苛政は虎よりも猛し」とは21世紀においても真理なのだと思い知らされる。チャベスが高い理想とカリスマの持ち主であったことは著者も認めている通りだが、異論や抵抗の可能性を人為的に排除してしまったことが恐ろしい結果につながった。独裁国家のみならず、「力強いリーダーシップ」に幻想を抱きやすい全ての人々に対する警鐘であろう。治安悪化が経済不安だけに起因するとは限らず、政治的要因(対立の先鋭化など)も大きいという指摘は鋭い。2023/01/07

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