内容説明
第19回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉作品は、読売新聞記者が描く記者vs.カラス! 日本新聞社会部・環境班の権執印(ごんしゅういん)は、カラスが人を襲う件数が増加していることに気づいた。取材を重ねると、カラスの変異はウィルスによるものだと説く学者もいる。権執印が、動物学者が狂暴化したカラスを目撃したという公園に赴くと、突如カラスの群れが襲い掛かってきて……。新聞社勤務の著者が圧倒的リアリティで描く、読み出したら止まらないバイオ・サスペンス!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aquamarine
90
人を襲う狂暴なカラスが現れた。カラスと人間との闘いということで中山七里氏の某作品を思い浮かべたが、こちらは追うのは新聞記者。自分も襲われ、2年目の行動力と一度舐めた辛酸を糧に無鉄砲に思えるほど深入りしていく。カラスに襲われた人間が鳥インフルに感染し死亡したり、カラスが目の前でPCのキーボードを打ち脅迫文を作成したりと物語が進むにつれ掴まれ一気に読むスピードがあがった。誰がなんのために何をしようとしてこうなった?後半急いだが納得のいく答えが用意されていた。このミス隠し玉。こなれていく今後の作品も期待したい。2021/06/12
ゆみねこ
88
首都圏でカラスが人を襲う事件が多発、その事実に気づいた入社2年目の新聞記者・権執印怜一。カラスの生態に詳しい学者を取材した直後にその教授は自殺し、カラスに襲われた人々に鳥インフルエンザが感染する。記者としてスクープを狙うゴンちゃん!壮大なバイオテロを仕掛けたのは誰なのか?展開は疾走感があり面白かったです。この先期待の作家さん。東一眞さん初読み。2021/03/19
タイ子
83
不穏な空気を醸す鳥はと聞かれたらやっぱカラスかなぁ。カラスの身になったら何でおいらが?な感じだろうけど。それはさておき、カラスが人を襲い始めた。何かあると感じた新聞記者のゴンちゃん(権執印)は会社に記事の掲載を願うも即却下。めげずに大学教授やら美人生物学者に当たっているうち身の危険を感じるようになる。カラスがパソコンを打ち脅迫状を、部屋は荒らされ、一体何がカラスに起こっているのか?カラスを媒体にウイルス?真相を聞いて驚くしかない、アホな…。途中、難解な文章があるもミステリーとしては面白く楽しめた。2021/05/30
のんちゃん
38
首都圏でカラスが人を襲い、その人が鳥インフルエンザに感染する事件が起こる。その理由を2年目新米新聞記者の怜一が追う。背後にはカラスを凶暴化させた科学者の影がちらつき、バイオテロか?という話。疫病の蔓延る現在のタイムリーな話だし読んでみた。が、学術的な話が長く、あらゆるデータを解析、表示、説明する著者の優秀なところは感服するが、私には合わなかった。意図した人物描写だろうが、怜一の考えなしの行動も好きになれず、どうにか最後まで読んだ。だが、はまる人には以上の点が私とは逆に魅力の作品となるのだろうとも思う。2021/07/16
オレンジメイツ
35
ミステリーとしても環境問題のことも極端だからこそわかりやすくて面白かった。鳥インフルエンザのことやカラスの種類等、情報てんこもりだけどグイグイ読めた。また気になる作家さんが増えてしまいました。2021/03/09