ワニの本<br> 痩せ姫 生きづらさの果てに

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ワニの本
痩せ姫 生きづらさの果てに

  • ISBN:9784584137406

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内容説明

女性が「細さ」にこだわる本当の理由とは?

人類の進化のスピードより、ずっと速く進んでしまう
時代に命がけで追いすがる「未来のイヴ」たちの記憶
――――中野信子(脳科学者・医学博士)推薦

痩せることがすべて、そんな生き方もあっていい。
居場所なき少数派のためのサンクチュアリがここにある。

健康至上主義的現代の奇書にして、
食と性が大混乱をきたした新たな時代のバイブル。

摂食障害。この病気はときに「緩慢なる自殺」だともいわれます。
それはたしかに、ひとつの傾向を言い当てているでしょう。
食事を制限したり、排出したりして、どんどん痩せていく、
あるいは、痩せすぎで居続けようとする場合はもとより、
たとえ痩せていなくても、
嘔吐や下剤への依存がひどい場合などは、
自ら死に近づこうとしているように見えてもおかしくはありません。
しかし、こんな見方もできます。
痩せ姫は「死なない」ために、病んでいるのではないかと。
今すぐにでも死んでしまいたいほど、
つらい状況のなかで、なんとか生き延びるために
「痩せること」を選んでいる、というところもあると思うのです。
(「まえがき」より)

ダイエットやストレスが高じて摂食障害になってしまった女性たち。
摂食障害に苦しむ女性の「生」を著者は30年余り見つめてきました。
彼女たちの「生きづらさの正体」とは何か?
また「それでも細さにこだわる理由」とは何か?
現代の女性たちが「細さ」にこだわりつつ、
欲望を空回りさせていってしまう根源的な理由を著者は見極めようとしてきました。
痩せ姫たちが集うブログのなかで、
摂食障害の女性に「生」を優先しがちな処方箋しか示しえない現代の医療や文明観に対しても
著者は鋭く疑義を呈しつづけています。
生命尊重だけではない、人それぞれがもつ守るべきもの、
あるいは生きるに値するものとは何かを
著者は「痩せ姫」たちとの交流をとおして30年余り考え続けてきた、その軌跡が本書です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

青蓮

105
読友さんの感想とタイトルに惹かれて読みました。摂食障害をテーマにした本。かつて拒食症だった私とって本書は共感の嵐でした。一応今は治まっているものの「痩せ」への拘りを捨てきれてない私はまだ「拒食脳」なんだなぁと改めて感じました。「死なないために病んでいる」という言葉が登場するけれど、まさにそれ。これはリストカットにも言えることで、当事者でないとなかなか理解しにくい感覚かもしれない。「摂食障害とはつまるところ性格なのだと思う」この考え方には目から鱗が落ちました。でも気をつけないとまた拒食に引き戻される恐さも。2016/12/06

亜希

41
摂食障害に興味がある人にとっては、読み応えがあり面白く読めるはず。かくいう私は文章はもちろん、写真や資料など含めかなり楽しめました。しいて言うなら興味深くてぐいぐい読めた前半に比べ、後半は当事者の想いが強すぎてあんまり楽しめなかった。自分がもう病的なダイエットからかけ離れた場所にいるからかもしれないけれど、小難しいこと言ってるなーくらいにしか思えませんでした。でも痩せ姫の写真を見ると、やっぱりテンション上がる。この思考というか性癖?はまだまだ治らない気がします。2016/12/19

akiᵕ̈

40
摂食障害を持つ女性たちのことを『痩せ姫』と呼び、一般の人から有名人までその実情に迫っている。自分の居場所を見失い、自身の存在意義を痩せていることに見出す人たち。王族・貴族に出現しやすく、他の人の幸せを願う事で自らの幸せとしようとする、という一文があったが、身体的には恵まれているはずの立場にあっても、多くの期待や重圧からのストレスは計り知れないものがあり、常に孤独が付き纏っている気がして、摂食障害に陥りやすいのは分かる気がします。“わたしはここにいる”“生きたい”という叫びが伝わってくる。2020/12/30

も ち@病気療養入院中のためオヤスミしています。

36
読友さんの感想で知った本。摂食障害、主に拒食症に焦点を絞っている。拒食症はただの行き過ぎたダイエットでは無い。世間からの理解も低い。「痩せ姫」と呼ばれる病的なまでに痩せた彼女たちはいつも枯渇しているのだ。身体も餓え、愛情に飢え、その上、存在意義に餓えた「痩せ姫」。ただでさえ低体重で負担を抱えた身体で、さらに痩せては「誇り」「安心感」「生きている心地」を得ようとする彼女たち。鏡に映る「骨と皮」の自分が「太った物体」にしか見えない「痩せ姫」。その「痩せ姫」の身体を抱きしめて、「どうか生きて」と伝えたくなる。2017/01/05

ぐうぐう

31
物事を評価する立場には、最低でもふた通り存在する。それを肯定するか否定するか。理想として評価は多種多様であるべきで(それは選択肢の多さも意味する)、その多種多様さは世界の豊かさに繋がってもいる。ところが現実は理想を逆行しているように思える。二項対立すらも認めようとしない、つまりは一元化の世界だ。その風潮はインターネットの普及により加速している。多数派の価値観が善であり、それ以外を悪と決めつけ駆逐する世界。なぜそのような風潮が加速したのか、身も蓋もない言い方をすれば、多数派に居るほうが楽だからだ。(つづく)2016/10/08

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