日本経済新聞出版<br> 利生の人 尊氏と正成

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日本経済新聞出版
利生の人 尊氏と正成

  • 著者名:天津佳之【著】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 日経BP(2021/02発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784532171612

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内容説明

第12回日経小説大賞(選考委員:辻原登氏・高樹のぶ子氏・伊集院静氏)受賞!
 鎌倉幕府滅亡から建武の新政へ。人が生きる甲斐のある世をつくる――後醍醐帝と志を同じくする楠木正成と足利尊氏。三人はその志をかなえるためにともに戦い、志をゆがめぬために敵味方に分かれた。やがて南北朝の動乱を経て、室町幕府による武家政権に移る混沌とした世の人間ドラマを、最新の研究成果も取り込みながら描き、まったく新しい足利尊氏、楠木正成、そして後醍醐帝を造形。選考会では確かな歴史考察と文章の安定感、潔いまっすぐな作柄が評価された、歴史小説期待の新鋭の登場だ。
 「利生」とは「《「利益衆生」の意》仏語。仏・菩薩が衆生に利益を与えること。また、その利益」(大辞苑)。本作では「上下の別なく、民が国を想う志を持ち寄って各々の本分を為せば、きっと日本は悟りの国になれる」と後醍醐帝と尊氏、正成は理想の世にかかげる。
<あらすじ>
 時は鎌倉末期。討幕の動きが発覚し後醍醐天皇は隠岐に流されるが、幕政への不満から、治世の主体を朝廷に取り返すという近臣たちの討幕運動は幕府内にも広がっていく。幕府の重職にあった足利高氏(尊氏)が、帝方の楠木正成に呼応するように寝返り、鎌倉幕府は滅亡。後醍醐帝が京に戻り、建武の新政がはじまる。
 しかし、武家も公家も私利私欲がうごめく腐敗した政治は変わらず、帝の志を実現しようと心をひとつにする尊氏と正成の運命は、陰謀に翻弄され、引き裂かれていく。

目次

序 法燈

壱 挙兵

弐 新政

参 決裂

四 湊川

終 利生

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うののささら

87
中国がおこした元寇コロナによる不平不満を舵取りできない北条執権に日本は大混乱。そんな時に居合わせたのが、後醍醐天皇、足利尊氏、楠木正成、新田義貞だったのは不幸だったな。日本がつぶれる前に新たな世の中をよきものと最初は同じ志をもったが倒幕後のビジョンは思い付き。貴族官僚たちは自分勝手な場当たり的な政策を行い貴族官僚社会が良ければ国民はどうでもいいと怨嗟の声は争いを生む。詭弁をのうのうと宣ってはばからない官僚の権威は失墜し新たな権力が濫立していき戦国の火種となる。後醍醐、尊氏は残念でした。2021/03/27

aloha0307

26
利生:民に利があり、民が生きる甲斐のある世の中にする…尊氏、正成、後醍醐天皇が理想とした信念です 南北朝の視点から理想に寄り添う本書📕 建武の新政が瓦解したのは、やはり後醍醐天皇を取り巻く公卿たちの私欲が主因なのだね。尊氏と正成が兵粮米:焼き飯を長い時間かけて共に作る場面は佳かったなあ(その僅か数年後に湊川の戦いか…)2021/11/03

Atsushi Kobayashi

23
敵対した同士が同じ目標だったという視点が良い感じです。2021/11/03

onasu

23
「建武の新政」というか、六波羅探題滅亡から湊川の戦いまでの足利尊氏と楠木正成、そして後醍醐天皇。言わずと知れた「太平記」の世界ですが、自分は明るくないところで、その異説(か、どうか分からないけど)を知識と共に存分に楽しんでこられました。  まみえたのは一度だけとした尊氏と正成ですが、それ以前もその後も乱れた世を改めたいとの同じ志を持ち、また武将としても認め合っていたが…、て辺りが肝で、こんな人だったとの説がある尊氏の造型もおもしろい。  些か理屈っぽいところはあるにせよ、おもしろい「太平記」前半でした。2021/05/25

サケ太

22
尊氏と正成、後醍醐天皇の造形が面白い。最新研究を取り入れつつ、物語を作り上げている。他人とは違う己の性質を持つ者。馬借として生きてきた者。理想の世を望む者。『利生』という言葉に結ばれ、三人の男たちが繋がれる。それぞれが、惑い、それでも進んでいく。後醍醐天皇の望んだ世を、楠木正成と足利尊氏だけが理解している。そして、それを果たそうとする、果たすことが出来るのが足利尊氏だけ、というのを物語として説得力あるものとしているのが巧い。足利家と楠木家の関係性を描いている面白い視点の作品。2021/02/27

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