集英社新書<br> 退屈とポスト・トゥルース SNSに搾取されないための哲学

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集英社新書
退屈とポスト・トゥルース SNSに搾取されないための哲学

  • ISBN:9784087211535

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内容説明

外出のチャンスも、人に会う機会も減ると、スマホやパソコンを手放すことの出来ない時間が爆発的に増えてしまう。だが、持て余した時間をSNSに費やしネットサーフィンを繰り返すことで、貴重な資源が次々と権力者や大企業に奪われているのだ。トロント大学哲学科教授であり名エッセイストの著者が、「退屈の哲学的評価」「SNS依存と退屈の関係」などの今日的なテーマについて、鋭い洞察と規制の必要性を小気味良い筆致で綴る。訳者はロス、デリーロらの翻訳で名高いアメリカ文学者、上岡伸雄。

目次


第1部 条件(ここにいられたらいいのに/カテゴリー/インターフェイス)
第2部 コンテクスト(孤独/叶えられない宿命にある願望/現実になる/革新中毒と理性の足場組み/理性のなかの理性)
第3部 危機(永劫回帰/構造的絶望/果てしなく続く、あり得ない旅/自己消費)
第4部 前に進むには(厳格な陶酔/愛/死)
謝辞
解説 小島和男
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

34
ぼく自身いまだにネットと適切につき合えないまま30年近いネット歴をのんべんだらりと過ごしてしまったことを思い、この本の指摘に膝を打つ思いを抱く。ネット依存について他の依存症の心理とからめて論じ、かつその依存を引き起こしうる重要な要素・要因である「退屈」に着目して数々の哲学的論考を参照しながらあざやかな手つきで整理・論述の手さばきを見せる。だが、その著者の野心と聡明さが暴走するあまり哲学やら政治やらポップカルチャーやら……と著述の対象があれこれ貪欲に取り込まれ、その結果どこか釈然としない読後感が残ってしまう2024/04/27

キク

31
無料のSNSは、利用者の情報から利益を得ている。情報価値を上げる為、承認欲求や孤独感を巧みに刺激してSNS利用を促す。利用履歴は商品となり、より高度な情報社会では、僕たちの存在自体が商品化されていくという。宮沢賢治は「修羅になる覚悟」を、ニーチェは「超人になる覚悟」を人々に求めたわけだけど、僕たちは今「商品になる覚悟」を求められている。、、ダサい。読メを記録や他の方のレビューの為に利用しているけど、ナイスや気に入られの数を気にしだしたら「ヤバい!自分商品化プロジェクトが立ち上がりかけてる!」と戒めよう。2021/01/29

原玉幸子

19
「真実すらオワコンなのか」の世の中にイライラしている私の心を、「まともな人もいる」と安心させ、「異論主張者に理念を語って無理に説得する必要なない」と鎮めてくれる(訳者曰く、敢えて原書から学術的な箇所を削った)新書です。事象を「退屈」、解決法を「足場組み」との用語を用いるロジックとレトリックが優れていて、今の社会を経済的な視点で憂い語る(偶々前掲!)『人新世の「資本論」』と根っこで繋がっている気がしますので比較読みは如何。両書共に憂いの解消の道が遥か遠そうなのが「真実っぽい」ですが。(◎2021年・春)2021/03/19

はるき

15
 人間、退屈すると碌なこと考えないししないよね。満たされることで余計なことをしてしまう人間の業の深さよ…。2021/03/22

またの名

11
性的魅力が及第点に達しない相手や興味を惹かないコンテンツならスワイプして視界から消し、脳神経が退屈を忘れて反応できる内容を求め画面をスクロールし続ける永遠の作業の果てに到来する真偽の区別を棄てた世界。学者すら自分の意志ではどうしようもなく脱け出せない惨めさを白状する中毒的な情報インフラを前に、哲学教授の著者は理性への信頼を諦めてSNS規制を主張し炎上。囚人やホームレスの苦しみに劣らず10代の若者が味わう退屈と指スクロール永久運動の地獄を解決すべき悲劇と説き、メディア論や現代思想の知をすがり付くように使う。2024/11/05

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