孤児と救済のエポック - 16~20世紀にみる子ども・家族規範の多層性

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孤児と救済のエポック - 16~20世紀にみる子ども・家族規範の多層性

  • 著者名:土屋敦/野々村淑子
  • 価格 ¥4,620(本体¥4,200)
  • 勁草書房(2020/11発売)
  • ポイント 42pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326603169

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内容説明

孤児の施設収容が開始された16世紀英国、公教育と貧困児童の処遇が主題となった18世紀米国、処遇をめぐる科学と優生学が交錯する19世紀末英国、ナショナルアイデンティティが複層化する20世紀初頭植民地朝鮮等、児童保護史上エポックメイキングな時代に焦点をあて、社会の周縁部で生きる子どもへのまなざしの変遷を描き出す。

目次

序 章 子どもの「救済」の歴史を問う視角[野々村淑子・土屋 敦]

第一章 「救済されるべき子ども」の発見──一六世紀英国における貧民救済の再編と孤児院[野々村淑子]
 はじめに
 第一節 一六世紀ロンドンにおける貧民救済の再編
 第二節 クライスト・ホスピタルの設置および初期運営をめぐる経緯と政治的文脈
 第三節 「代父」としてのクライスト・ホスピタル
 おわりに

第二章 救済と教育──一八世紀後半フィラデルフィアの弱者救済活動にみる子ども・教育・家族[乙須 翼]
 はじめに
 第一節 一八世紀後半フィラデルフィアにおける貧困者救済
 第二節 弱者救済を支える救済観の多層性
 第三節 教育的救済の登場と多様な貧困児像
 おわりに

第三章 「子どもを育てる親」像の規範化と「子ども期の科学化」の内実──二〇世紀転換期英国における児童保護の展開に焦点をあてて[草野 舞]
 はじめに
 第一節 「子どもを育てる親」像の規範化
 第二節 「調査」による児童保護制度の重要性の確立──体力衰退に関する部局間委員会報告書(一九〇四)を手がかりに
 第三節 二〇世紀転換期における「子ども期の科学化」と「子ども」像の統合
 おわりに

第四章 近代日本の児童保護にみる孤児の創出──明治期上毛孤児院における孤児像と家庭規範[足達咲希]
 はじめに
 第一節 上毛孤児院の設立経緯──群馬と近代日本
 第二節 保護されるべき対象としての子ども
 第三節 上毛孤児院からみる「家庭」規範
 おわりに

第五章 「アメリカ化」から「日系人の子どもは日系人の家に」──羅府日本人人道会から南加小児園への展開(一九一二─一九五二年)を中心に[大森万理子]
 はじめに
 第一節 羅府日本人人道会による救済事業──「保護」されるべき日系児童の発見
 第二節 南加小児園の児童保護事業
 第三節 二重の人間形成
 第四節 施設保護から里親委託・養子縁組サービスへ
 おわりに

第六章 植民地朝鮮における私設孤児院の「隘路」──嶺南共済会(慶北救済会)の設立運営に焦点を当てて[田中友佳子]
 はじめに
 第一節 棄児・孤児・浮浪児の問題化とその対策
 第二節 嶺南共済会の設立と経営難
 第三節 慶北救済会の方針転換と事業拡大
 第四節 慶北救済会における孤児救済──理事・藤井忠治郎の養育観
 おわりに

第七章 孤児の公的救済におけるフロイト主義の関与──戦時期から一九六〇年代における欧米学説の日本への移入過程を中心に[土屋 敦]
 はじめに
 第一節 「親子分離」の社会問題化と施設児童の研究対象化
 第二節 戦後日本における子どもの公的救済とフロイト主義の関与
 第三節 「母性的養育の剥奪」概念のその後の展開──高度経済成長期における家族政策とボウルビィ革命
 おわりに

あとがき
人名索引
事項索引
執筆者紹介