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内容説明
「薬物なんてさ、一生自分とは関係ないって思ってたし。前の学校で、そういう授業受けたとき、こんなのやるわけねー、って思ったし。でも、ふわっと目の前に薬物が現れると、思いがけなさすぎて現実味失う。仲いい人がやってて、その人が異常者でもなく、ごくフツーに見えるとさ」(本書より)
地方から東京の中高一貫の私立中学に編入した加地隆秋(かじ・たかあき)は、勉強の進度に追いつけず、運動神経も悪い自分が周囲から浮いていると自覚している。そんな加地は、家庭教師の大学生、安岡を慕い、自宅に遊びに行くことになった。安岡の部屋で見つけたプラスチックケースから出てきたのはガラスのパイプと苔色の何かだった。加地はすすめられるがまま、大麻を吸った――。
薬物の魅力に抗しがたく変わっていく加地。その変化に気づいたのは、チャンネル登録者数をとにかく増やしたいYouTuberの伊佐木周五(いさき・しゅうご)、そして動画作成を手伝うことになった麻矢夕都希(まや・ゆづき)だった。
「チーム」シリーズなど児童向けエンタメをヒットさせる一方、犯罪加害者の家族に光を当てた硬派な物語も手がけてきた吉野万理子氏。彼女が今回テーマに選んだのは、児童書の世界で取り上げられてこなかった「中学生の薬物依存」です。薬物依存者の回復サポートにあたる団体「日本ダルク」で、薬物にどっぷりと依存した経験のある人たちへの聞き取りを行うなど、さまざまな取材によって裏付けられた社会派のヤングアダルト小説です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
horihori【レビューがたまって追っつかない】
40
中学生の薬物依存をテーマにしたヤングアダルト小説。私立中学に編入した加地隆秋は、学校に馴染めず、家庭教師の大学生から勧められるがまま大麻を吸う。加地の変化に気づいたのは、同じクラスのYouTuber伊佐木周五と、母親が覚醒剤で逮捕された秘密を持つ麻矢だった。2人の支えで、隆秋は、麻薬の恐さを知り、止める決意をする。麻薬が、予想以上に身近にあって、驚く。しかも、全然罪悪感が湧かないような気持で手を出せてしまう手軽さが怖い。しかし、中毒症の悲惨さがあっさりしていて、子どもたちに勧めるには物足りなく思い、勧めず2021/04/14
tan
39
児童書かと思ってましたが中高生向けでした。中学生で薬物なんてありえないと思いしましたが、ラストの表を見て現実を突きつけられました。私も「薬物やる人って不良っぽいいかにもって感じの人」というイメージでしたが、フツーの子に身近なものだと恐ろしくなりました。でも一番の原因は孤独ではないでしょうか?加地にいい友達ができて本当に良かったです。中高生たくさん読んで欲しい作品でした。2021/08/10
わむう
31
父の転勤により地方から都内の私立中学に編入した隆秋だが学校になじめず自分の居場所がない。そんな時、大学生の家庭教師に大麻をすすめられ好奇心で手を出してしまう。クラスメイトの周伍から動画作成の協力を求められ、夕都希も含めた3人で親しくなっていくが、2人は隆秋の言動が、たまにおかしいことに気づき始める。そのあと、二人が隆秋から距離を置いたりせずに、自分たちができることを考えて、更生させようとするところに胸が打たれます。2021/06/20
白雪ちょこ
30
中学生の加地くんは、外見は男らしくかっこいいのに運動が苦手で、クラスから軽いイジメに遭う。 家庭教師として着ていた大学生の安岡さんから大麻を試されるという、とんでもない瞬間に立ち会うような突然さに、思わず体温が1度低くなった。 同じく、YouTuberとして出会ったイサキ君も、芸能人達が普通にラムネを口に放り込むようにMDMAを所持しているシーンも、まさにその場にいるような、ゾッとさせられる描写だった。 学校の授業で教わっても、悪人達は純粋な子供に手を差し伸べてくる。 是非、道徳の授業で読ませるべき作品。2022/05/16
抹茶モナカ
18
図書館の本のおみくじという中身のわからない封筒を選んで、中に入っていた本。薬物に関するヤングアダルト小説。運動音痴で、学校に馴染めない少年が大麻にハマる、という本。自分では当然選ばないだろう本だけど、図書館の企画に参加して、司書さんの選書から読む市民生活が心地良くて、それだけで心地良い。同級生がYouTuberだったりして、今を学ぶことが出来た。2022/01/23