講談社文芸文庫<br> 愛の生活・森のメリュジーヌ

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講談社文芸文庫
愛の生活・森のメリュジーヌ

  • 著者名:金井美恵子【著】
  • 価格 ¥1,155(本体¥1,050)
  • 講談社(2021/02発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061975781

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内容説明

《わたしはFをどのように愛しているのか?》との脅えを、透明な日常風景の中に乾いた感覚的な文体で描いて、太宰治賞次席となった19歳時の初の小説「愛の生活」。幻想的な究極の愛というべき「森のメリュジーヌ」。書くことの自意識を書く「プラトン的恋愛」(泉鏡花文学賞受賞作)。今日の人間存在の不安と表現することの困難を逆転させて、細やかで多彩な空間を織り成す、金井美恵子の秀作10篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

青蓮

101
小川洋子さんの「偏愛短篇箱」で知った金井美恵子さん。「兎」の強烈なインパクトが忘れられず、本書も読んでみました。短篇10編収録。イメージ的には果てしない鏡の螺旋階段をぐるぐると辿っていくよう。現実も夢も思索すら溶け合って作り上げられた世界は心地良い眩暈を誘う。グロテスクな描写すら美しい。一番印象に残ってるいるのはやはり「兎」だけれど、書くことの自意識を描いた「プラトン的恋愛」が新鮮に感じて面白かったです。全体的に小説でしか表現出来ない、実験的な新しさを感じた1冊。金井さんの他の作品も読んでみたいです。2018/01/11

buchipanda3

86
短篇選集。著者初読み。読む内に文章に溺れそうな感覚を持った。エピグラフなどにあるがキャロルのアリスのような迷宮的な感性へ誘われる。と言っても描かれるのは現実。日常に潜む不確かさや不安定さ、その危うさを鋭敏に描写していると感じた。「兎」の奔放なグロテスクさや世の中を裏面から見たような「プラトン的恋愛」などあるが特に好みは「愛の生活」。生々しく鋭い文体が良い。唐突の苦痛、空腹と吐き気の反復。ままならぬ生理作用への不快は不安と歯がゆい孤独を誘発し、世の具体的なものが抽象的なものへ変転する。その描写感覚に嵌まる。2023/10/05

コットン

84
映画好きな人らしく読んでいると幻想的だけれど生々しく映像が目に浮かぶような場面がある一方、言葉の難しさも感じる短編集。印象的な言葉:『夢と愛によって作られた宇宙大の死の錯誤へ通じる永遠があなたの肉質ガラスの薔薇色に輝く存在の意味であることを知っている。』2014/03/06

ゆいまある

72
KU。短編集。起承転結のはっきりしないものが多く、物語を読むより雰囲気を味わう。少し前の日本で書かれたものだが、どの時間にも文化圏にも属さない不思議さ。倫理より優先される美学、官能。と、言っても肉体に依るものではなく、グロテスクと感じる直前を攻めてくる。不思議の国のアリスであったり、近親相姦的であったり、幻想的ではある。映像や香りが否応なしに浮かぶので、読んでいて気持ちいい部分もあるが、読み飛ばしたくなる所も多く、癖は強め。兎を殺す快楽に魅せられ殺した兎の皮を着て死臭に咽ぶ「兎」が良かった。2024/10/06

読書好きのハシビロコウ

32
表題作「愛の生活」は、夫の「F」の行方が突然わからなくなったことをきっかけに、「自分は本当に夫を愛しているのか」を思案するというもの。なんとなく日常を送っていると、ふとした時にこのような哲学的・根源的な問いが浮かんでくることがある。この短編集には他にも「愛とは何か?」「自分はどこにいるのか?」と言った問いが散りばめられ、それが幻想的な雰囲気で覆われている。読んでいると幻想と現実の境界が薄れてくるので、日々私たちが当たり前に受け入れている現実世界に対しての不安定さを描いた物語達なのだと感じた。2026/03/24

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