内容説明
初のアフリカ人学長によるユニークな京都論。
「いけずな町」に飛び込んだ外国人学者、「悪戦苦闘」の30年。
「一見さんお断り」はサービス精神の裏返しだった?
「遠まわしなモノ言い」は「よそさん」への気づかい?
実はパーティ好き、実は気を使いすぎ、実は新らしモノ好き……、
「サンデーステーション」出演で話題のウスビ・サコ氏が専門の空間人類学をベースに京都人を分析する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たいぱぱ
72
京都精華大学学長でマリからやってきたサコさん。「マツコの知らない世界」に出演されてた時にどんな人なのかとても興味を持ちました。凄く面白い本ではないけれど(失礼…)、京都の人や文化をよく観察されてるし、馴染もうという姿勢に感嘆しました。僕がサコさんの立場なら京都が嫌いになりそうだけど、度量もでかいし理解しようという姿勢が素晴らしいと思う。こういう人ばかりなら戦争なんてなくなるのに。いけずな京都人を分析されてますが、多かれ少なかれ日本人ならみんな「いけず」な部分がある気がします。2022/11/28
いたろう
72
アフリカ、マリ共和国出身、京都精華大学学長のサコ先生。以前、アフリカ出身の大学学長が誕生したという記事を新聞で読み、それが京都という閉鎖的な街の大学ということで驚き、一体、どんな経歴を持つ人なのだろうと気になっていたが、この本でようやく知ることができた。中国に留学後、留学先を日本に移したものの、最初から京都に来ようと思ったわけでなく、たまたま受け入れてくれたのが、京都大学だったという縁。それから30年、京都に住み続け、今では、すっかり京都人のサコ先生の、外国人だからこその京都の土地柄の説明が分かりやすい。2021/03/09
R
58
タイトルの通りだけども、少し変わった京都紹介本のようでもあり面白かった。マリからやってきた著者のこれまでの経緯がかなり面白くて、朗らかというか、苦笑い話のようにさらっと書いているけど、実際に遭遇した人たちの苦労が大変忍ばれる内容で笑ってしまった。偏見はいけないと思うが、マリ人が引っ越してきたら気を付けよう。その文化的アンマッチと、他人との距離感、空間についてというのがやがて著者の研究テーマとなって、そこにさらり触れるのがよかった。そういう観点からの京都という解説も面白い本だった。2022/06/23
りょうみや
25
サコ氏の本3冊目。京都は隣の大阪に住んでいる私から見ても異質なのにマリ人から見たらどうなるのか。空間人類学が専門の著者らしく、住居や通りの空間的役割から京都を分析しているところが特徴的。改めて思うのは京都人はとてもプライドが高い。ややこしいけどおもしろい。外の人間が本当に受け入れてもらえるのは大変。でも守りべきものと変わるべきものを厳選しているのであって拒否しているのではない。表紙の著者が平安衣装を身に着けて伝統行事に正式に参加しているのは京都は異文化を受け入れているという象徴だと言う。2022/03/01
羽
24
日本人でも理解しがたい京都という場所やそこに住んでいる「いけず」な京都人は、外国人の目にはどのように映るのでしょう?京都人は、店で作りたての生八つ橋を買う。一見さんお断りは「料理や器の価値が分からない人には食べてもらいたくない、理解した上で味わってほしい」という京都人のサービス精神からきている。京都人は反対語や婉曲的な表現で注意する。そんな「京都人コード」が山ほどある京都。「郷に入っては郷に従え」の通り、今では京都にすっかり馴染んでいるサコ学長でした。2021/05/08