内容説明
「生まれてこないほうがよかった」という思想は、人類2500年の歴史をもつ。本書では、古代ギリシアの文学、古代インドの宗教哲学、ブッダの原始仏教、ゲーテやショーペンハウアー、ニーチェなど近代の文学と哲学、そして「誕生害悪論」を説くベネターら現代の分析哲学を取り上げ、徹底的に考察。人間がこの世に生まれてくることは誤りであり、生まれてこないようにしたほうがよいとする反出生主義を世界思想史の中に位置づけ、その超克の道を探っていく。反出生主義の全体像が分かる本邦初の書である。
目次
はじめに
第1章 「おまえは生きなければならない!」
1 メフィストと「否定する精神」
2 「おまえは生きなければならない!」
3 救済されたファウストの魂
4 『ファウスト』と誕生否定
第2章 誕生は害悪なのか
1 オイディプス王
2 世界と人生に対する呪詛
3 ベネターの「誕生害悪論」
4 反出生主義の射程
第3章 ショーペンハウアーの反出生主義
1 生命論へと変換されたカント哲学
2 生きようとする意志
3 いっさいの生は苦しみである
4 「無意志」の状態こそが最高善である
5 自殺について
6 死によっても壊れ得ないもの
7 ショーペンハウアーの影響力
第4章 輪廻する不滅のアートマン
1 輪廻思想の誕生
2 熟睡によって到達する本来の自己
3 「お前がそれである」
第5章 ブッダは誕生をどう考えたのか
1 一切皆苦
2 涅槃寂静
3 生まれてこないほうが良かったのか?
4 原始仏教と自殺
第6章 ニーチェ──生まれてきた運命を愛せるか
1 生を肯定する哲学者
2 永遠回帰
3 運命愛
4 在るところのものに成ることを欲する
5 ニーチェと誕生肯定
第7章 誕生を肯定すること、生命を哲学すること
1 誕生害悪論を再考する
2 善から悪が生成することは悪なのか?
3 子どもを産むことをどう考えるか
4 誕生肯定の哲学へ!
5 生命の哲学へ!
あとがき
感想・レビュー
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trazom
松本直哉
ふみあき
TARO
まいこ