内容説明
小学生の時に母を亡くした民子は、父とその再婚相手との三人暮らし。複雑な想いを胸に秘めていたが、亡き母の親友からある話を聞き、徐々に心を開いていく――それぞれの想いを鮮やかに掬い取った、切なくも温かな家族の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
314
イブの朝にふさわしい、優しい連作中篇(短編)集。実は私の好きなのは、宏子とその母の物語だったりします。民子の婆ば(作中ママ)も大好き!すべての人に、自信を持ってオススメでできる作品です♫2016/12/25
おしゃべりメガネ
202
ハードカバーを図書館で借りて読み、文庫を古本で見かけてまた読みたくなり再読です。正直、どんな話だったか、忘れてしまっていましたが、やっぱり穂高さんの作品はとても癒されます。幼い頃に母を病気で亡くした「民子」を中心に継母や父、祖母、亡くなった母の親友、その息子など出てくる人物みんなが人間味に溢れ、ただの平和とは少し違ったアットホームな雰囲気が、とても魅力的です。娘の成長があらゆる人物の視点をとおして描かれる構成も、読みやすさを後押ししています。人の生と死を家族のつながりで綴る物語に心がじんわりとなりました。2017/04/22
匠
172
小学生のときに母を亡くし、その後父が再婚した人との3人暮らし。主人公である高校生の民子、父と再婚した宏子、母の友人だった祥子、そして最後は父とそれぞれ4章に分けた視点で描かれていた。読み始めてすぐ僕の身内が亡くなり、しばらく先が読めずにいたのだけどようやく今日読了。多少の思い違いや悩みはあれど、誰もが誰かを思い遣り、その根底には愛情がある。あたたかい物語だった。民子が亡き母に宛てた手紙と、実母である美智子の死の直前の自身の想いはもちろんなのだが、宏子の母親が民子の印象を語る言葉が個人的には一番心に響いた。2014/06/21
相田うえお
150
★★☆☆☆17109 早くに親をなくした子供は、ちゃんとした大人になって家族を大事にするかもね。(例外もあるでしょうが)愛情の詰まった手作り弁当っていいですよねー。タコさんウインナーにリンゴのうさぎが入ってたら鼻高々だろうなぁ。そういえば番茶って茶色っていうか黄色だったと思ってたんだけど違ってた?当方、煎茶と番茶の区別で脳内メモリーリードエラー発生!皆さんは知ってた?ついでに『月待ち』っていうのは知ってる?満月が終わってからの半月の時に願い事をして一晩中起きてると叶うとか。。2017/11/08
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
121
母と死に別れた少女とその家族を優しく描く連作小説。4篇で構成され、それぞれの物語は少女、継母、亡くなった母の親友、父親の視点で描かれ、人物像が立体的に浮かび上がる。悲しみを受け止め強さと優しさを獲得していく少女・民子。不器用だけど彼女なりのやり方で『家族』を包んでいく継母・宏子。「あなたは意気地なしで寂しがり屋だからひとりでは生きられない」。妻の遺言に従い、弱虫なりに新しい家庭を作る父親・亮太。三人三様のカタチで亡くなった母・美智子を思い、自分と家族の幸せを願う。懸命に生きる人たちを月は優しく照らす。2016/03/24