内容説明
消えた復興予算、2兆円。
震災を食い物にする奴らがいる――。
《日本最強の捜査機関》東京地検特捜部に配属された検事・中澤源吾は追い詰められていた。
大手運送会社社長の億単位の脱税疑惑を追うも、立証できたのはごく一部。
だが、元同級生の事務官・城島毅らと捜査を進めるうち、
不可解な金の動きは東日本大震災の復興補助金に繋がり――。
元記者の著者が、取材不可能な組織の深部に迫る、骨太の社会派ミステリー!
【推薦コメント続々!】
これほどまでに真に迫る形で、「東京地検特捜部」を扱った入魂の小説があっただろうか。
『巨悪』を読めば、わかるだろう。
伊兼源太郎が、いま猛烈な勢いで巨星・横山秀夫の域に近づきつつある要注目の俊英だと!
――宇田川拓也(ときわ書房本店)
やられてしまった。善とは悪とは。考え続けている。
巨悪に立ち向かう中澤、城島。
その悪の正体が現れた時、怒りが爆発し、悲しみにうち震えた。
重いテーマ、エンタメ度満点の傑作ミステリー。
誰かに思いを話したい。
――山中真理(ジュンク堂書店滋賀草津店)
理不尽な社会の拳となるのは絶望から生まれた怒りの感情。
「巨悪」とはこの世を覆い尽くす闇でもあれば身近に潜む棘でもある。
本物の正義が伝わる揺るぎなき物語!
目を背けてはならない現実がここにある……。
――内田剛(元書店員、ブックジャーナリスト)
「東京新聞」の特集も大反響!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
149
かっちりと、みっしりと。そして熱っ!途中まではその重量感⬅️検事が沢山出てきて誰が誰やら、とか後でそれは緻密さの現れ、と解るのだが、中々捜査が進まずもやもやする等、に押し潰されそうになったが、第4章「失踪」からは一気読み。読み進める毎に主人公の2人が何故法曹の道を選んだのかが解り、事件を解決する事が過去を乗り越える事になる、という構成が素晴らしい。「巨悪」がこの国の様々な分野に触手を伸ばし、取り込んでいる、という恐ろしさ。「支配者の暴走、国民の追従は大量の犠牲者を生む」ぞっとする。正義は勝つ、と信じたい。2022/06/09
タイ子
88
これまで読んだ伊兼作品の中では一番面白かったかも。十分に満足が得られる内容であり、東京地検特捜部という組織を見事に描き切った最高傑作ではないだろうか。本作の主人公・中澤が手掛ける脱税、献金事件。なかなか尻尾を掴ませない参考人の秘書が自殺。中澤の妹が十数年前に殺害された事件も関係あるのか、その妹の恋人だった城島は事務官として共に調査。過去の事件が現在まで2人の胸中を常によぎる様が切ない。事件を捜査する特捜部の人間臭い面々が物語に緩急をつけていく。巨悪に向かう正義と矜持。ラストシーンの2人がまぶしい。2022/08/28
ゆのん
83
初読みの作家。あまり得意ではない『検察ミステリー』に加え約600頁という重さ…読み終わるまで何日掛かるだろうと期待よりも不安の方が大きかったが、あまりの面白さに1日で読み終えてしまった。ニュースなどで大量の段ボールを運び出す映像を観る事があるが、地検がどんな捜査をしているのかも詳しく分かった。そこに根差す『正義』を全うする熱さが読んでいて胸に迫ってくる。『正義』はファンタジーじゃない、確かに存在する…そんな世の中であって欲しいと切に思う。個人的には臼井事務官がとてもお気に入り。他の作品も近々読みたい作家。2021/03/11
kei302
61
巨悪に立ち向かう東京地検特捜部の検事や事務官の仕事の地道さと根気強さ。華やかさとか勧善懲悪とは無縁で、だからこそのリアリティーを感じた。和菓子の領収書、メモ書きされた“水”の文字、そして、中澤が検事の道へと進んだきっかけとなった過去の事件との繋がり。 理不尽さを残す終結の仕方に続編を期待してしまう。2018年6月発売単行本の文庫化。 #NetGalleyJP 2021/02/16
シキモリ
27
全600頁、出し惜しみなしのフルスロットル。大手運送会社の脱税疑惑を発端に、東京地検特捜部に属する検事&事務官の同級生コンビが震災復興支援金を流用する強大な裏金の構図に切り込んでいく。政官財による巧妙な錬金術に、関係者の相次ぐ不審死。そこに地検内の権力争い、更には主人公の妹(相棒の恋人でもある)の殺人事件の謎も絡み合う。定型的な筋書きではあるが、やっぱりこういう骨太で熱量のある社会派ミステリーを読みたいのですよ。私が好きな相葉英雄さんの系譜も感じる。現在40代前半の著者だが、今まさに脂が乗っているのでは。2021/02/21
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