内容説明
北方領土は返ってこない。ロシア人は狡猾(こうかつ)で、約束は禁物だ――著者はこう語る。長年、かの国に渡り、多くの知己(ちき)をもつ研究者にそこまで思わせるロシアとは、一体、どんな国なのか。誤作動で発射をまぬがれた核ミサイル。日常の出来事となった反体制者の暗殺。世界最悪の飲酒大国。悪魔への奇妙な共感。消えない「プーチン偽者」説。さもしい都市モスクワ……現地を旅し、不条理に絶望し、怒り、戸惑い、ときに嗤(わら)いつつ描く、新しいロシア論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
78
ウクライナ侵攻からよくテレビで見かけ、そのキャラクターが面白いので読んでみた。もう少し学術的な内容かと思っていたら、中村さんが個人的にロシアで経験した事実が並べられているだけだった。確かに、そんなことがあるのと驚く事ばかりだが、どうなのだろう。この内容、信じていいのだろうか。2022/08/03
おいしゃん
35
ロシアを熟知した著者だけに、この国の薄ら寒さをリアルに伝えてくれる。癖のありすぎる国民性がわかるエピソードも面白い。プーチン偽物説をさも当然のように唱えられたのはさすがに引いたが、そんなあり得ないこともあり得てしまう国なのかもしれない。2022/05/17
金吾
33
体験談主体なのでしょうがないのでしょうが、枝を集め、森が見えないような一冊です。昔父がロシア人は個人としては物凄く人がいいが、国家になると全く信用出来ないと言っていたことを思い出しました。2023/12/11
謙信公
32
入国禁止リスト63番目の著者が、日本人なら誰でも「?」と思うロシア人の行動、心理を解説。交渉は嘘から始まり、嘘の約束を重ねていく。期待は裏切られ、悲惨な結末に落胆することになる。いつまでロシアを信じて領土交渉をするのか?「ロシアを愛さないと犯罪になるのです」「ロシアは、将来に何が起こるかを推測できない国です」「結局、わたしたち(ロシア人)のいないところが、いい場所なのです」「神様!わたしがロシアに生まれたのは、なにかの罪の代償なのでしょうか。前世でなにか悪いことをしたからでしょうか」いやはや「おそロシア」2024/09/24
Cinejazz
25
〝ロシア人は、嘘に嘘を重ねた挙句に、悪いのは嘘を吐いた自分たちではなく、騙されたと気づいた側に非があると開き直る狡猾な輩〟と、モスクワ大学ソ連科学アカデミーに留学し、かの国に多くの知己をもつロシア通の大学教授が、ロシア人社会の実態を明かしている。 勘違いから核戦争を起こしかけた事例、毒殺・暗殺の頻発、欧米派プーチンの豹変と<偽プーチン>説の真相など、苦難の歴史を生き延び、外敵を排除してきた精神的負荷が、歪んだ愛国心を助長させるに至った不条理な社会に怒り、嘆き、今日の危機的局面に警鐘を鳴らしむ。2022/08/29