内容説明
自我を宿したAI内蔵人型ロボット・瑛子は、わけあって和井田家に居候中。家族の勧めで高校に入学し、目に映る景色が変わっていく。孤独な少女・風香との出会いや、いつもなにかと騒がしい一家との日々。友情とか親子とか、検索しても正解のない世界を、ロボットならではのフリースタイルで瑛子は突き進む! 鬼才のエッセンス全開のハイテンション青春AI家族小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
245
世界初“自我”を持ったAIで駆動するアンドロイドの和井田瑛子さんが巻き起こす喜劇。強いAI(๑•̀ㅂ•́)وィィ。随分前、ツイッターのメーテルがこんな様な事を言っていたのを思い出しました。『哲郎、20世紀は機械の身体で永遠の命が得られると考えられてきたわ。しかし21世紀に入って久しい現在、度重なるアップデートの末、機能不全を起こす事が知られる様になったのよ』と。うん、思考エンジンとデータはクラウドに置いた方が良いと思うな。ただ、誰もメンテ出来ない状況では、それは無駄になっちゃうけど。それでも設計の問題よ。2023/01/24
のっち♬
130
ワイルドな和井田家に引き取られたAIロボット瑛子は女子高生として青春を謳歌する。奇想天外な転換をするエスプリとユーモアの効いた会話センスが非凡。粒揃いな人物造形も瑛子の適応度に即したストーリーもうまくハマっている。口調もポジションも劇的に変貌するので章毎に表情が異なるが、キャラとリズムが安定しているので統一感は十分。瑛子の程よいスペックのムラもドラマのうねりに昇華されている。アイデンティティクライシスをでっかい懐でガサツに包み込む傑作。みんなバラバラだからこそゼロからの繋がりには無限の可能性が眠っている。2022/03/16
星野流人
51
これはとても好きな作品でした。主人公の和井田瑛子は、自我を宿したAI内蔵人型ロボットです。わけあって女子高生として高校に通っている瑛子は、友達を作ろうとしてみたり、アルバイトや部活を通して世界と関わっていくこととなります。まずロボットである瑛子の、独特な語り口がおもしろいです。もちろん物語もおもしろく、瑛子がロボットである、という前提をうまく生かした青春小説として完成されています。最初は無機質な思考しかしなかった瑛子が、失敗を繰り返しながらも世界と関わって変わっていく様は、読んでいて感動を覚えました。2021/04/14
よっち
45
訳アリで自我を宿したAI内蔵人型ロボットとして生まれ、和久井秋彦に救われて彼の家に居候することになった瑛子。そんな彼女が家族の勧めで高校に入学する青春AI家族小説。作った人の趣味もあって見た目は人間らしくても、描かれるティテールに彼女はロボットなんだなと感じさせられましたが、最初友達を作ろうとして空回りする姿がヤバいなと思った瑛子が、アルバイトや部活動に挑戦したり、友人の家族問題に巻き込まれていく中で、大切な友人や家族たちに認めれられ、将来に希望を見出すようになってゆく結末にはぐっと来るものがありました。2021/02/09
うまる
44
自我のあるAI内蔵人型ロボットにとって、この世界は難しいけど嫌いじゃない。そんなロボット独特の感性と日常生活を面白可笑しく描いた快作。 開始10ページだけでも笑い所がいっぱい。目線を合わせる所とかフッって声でそうになったわ! ギャグ全開だけど、それだけじゃない所も魅力です。ロボットから見たからこそ、人間社会ってそういうとこあるよねとわかる展開に感心しました。なんだかんだあるけど、この世界に存在できる事は素敵だねってなる読後感も良かったです。例の不正チェックのシーンや、ペッパーくんが出てくるのもツボでした。2021/08/05
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