内容説明
『現代アートとは何か』の著者が政治や経済とアート業界とのあいだに起こっているさまざまな問題をえぐり出し、2020年代の“政治とアート”の動向を鮮やかに予言する。書き下ろし。
※本電子書籍版には一部掲載されていない図版があります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobuko Hashimoto
20
とても興味深く読んだ。現代アートは、現代社会や、それを形作ってきた歴史に迫っていって、切り裂き、えぐり出す。そのため、それを脅威と感じる人たちから(きちんと見もせずに)反発されたり、それを嫌うアート業界や観衆から忌避されたりすることも多い。本書で、そのような世界と日本での動向を詳しく知ることができた。東京で現代アート集団Chim↑Pomの回顧展を見た前後に少しずつ読んだので、ジャストなタイミングだった。そのChim↑Pom展は予想以上に面白く、おおいに刺激を受けたので、ほかにも関連書籍を読んでいきたい。2022/04/05
Francis
13
猫町俱楽部の課題本。アメリカのトランプ前政権、あるいは極右的な共和党のヘルムズ上院議員らが芸術活動にどのように介入したか、そして日本のあいちトリエンナーレ「表現の不自由展」安倍前政権の2014年以降右派的ポピュリズムがアートにどのように介入したか、そしてそれらの動きに対してアーティストの側はどのように反応したかを書いている。最後のところでロシアのプッシーライオットの抗議活動が取り上げられているのはうれしかった。彼女たちの活動に対して私が会員となっているアムネスティインターナショナルが支援したからである。2021/05/22
まこ
8
今では古典芸術と言われるものも制作された当時は現代アートとして叩かれていた。現代はSNSの発達などが原因で人の目につきやすく、叩かれやすくなった。叩く側に作品への理解がないことが理由として挙げられるが、その人たちにどのように理解してもらうか。わかりやすく説明しているのに伝わっていないことがある。2021/06/03
Michio Arai
6
あいちトリエンナーレの部分を読む。「平和の少女像」の作者キム・ソギョン夫妻は自国兵士のヴェトナム民間人虐殺をテーマに「ヴェトナム・ピエタ」を自省の念を込めて制作していることから必ずしも反日とは言えないとするが、慰安婦は事実ではないというのが日本の立場である一方、韓国兵によるヴェトナム民間人虐殺は極限的な心理状態下での行為とはいえ事実であり、違うだろ、と思う。政治的表現には寛容でも、性的作品について捨象している点をダブルスタンダードであると指摘したりと擁護一辺倒でなく全体として好感の持てる評論集ではある。2021/07/31
たろーたん
2
トランプに貸そうとしたカテラン「アメリカ(黄金の便器)」からカテランの作品を色々と知れて面白かった。またよく分かってなかったあいちトリエンナーレ「表現の不自由展」も知れた。まあ、河村たかし名古屋市長や松井一郎の批判が的外れなのは当然だとして、わいせつ系がなく政治色の多い作品に偏っていた点は政治的プロパガンダと言われても仕方ない点はあった、などは納得した。しかも、選考委員の岡田有佳が会田誠作品を拒絶していた点は、自分の主張する慰安婦系はOKだけど会田誠はNGとダブルスタンダードと言われても仕方ないだろう。2022/03/15