講談社学術文庫<br> 〈イスラーム世界〉とは何か 「新しい世界史」を描く

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講談社学術文庫
〈イスラーム世界〉とは何か 「新しい世界史」を描く

  • 著者名:羽田正【著】
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 講談社(2021/02発売)
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  • ISBN:9784065224427

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内容説明

ジャーナリズムで、また学問の世界でも普通に使われる用語、「イスラーム世界」とは何のことで、一体どこのことを指しているのだろうか? ムスリムが多い地域のことだろうか、それとも、支配者がムスリムである国々、あるいはイスラーム法が社会を律している地域のことだろうか。ただ単に、アラビア半島やシリア、パレスチナなどの「中東地域」のことを指しているのだろうか? 本書は、高校世界史にも出てくるこの「イスラーム世界」という単語の歴史的背景を検証し、この用語を無批判に用いて世界史を描くことの問題性を明らかにしていく。
前近代のムスリムによる「イスラーム世界」の認識、19世紀のヨーロッパで「イスラーム世界」という概念が生み出されてきた過程、さらに日本における「イスラーム世界」という捉え方の誕生と、それが現代日本人の世界観に及ぼした影響などを明らかにする中で、著者は、「イスラーム世界」という概念は一種のイデオロギーであって地理的空間としては存在せず、この語は歴史学の用語として「使用すべきではない」という。そして、地球環境と人類史的視点から「新しい世界史」を構想し叙述する方法の模索が始まる。
本書は刊行当時、歴史学者・イスラーム学者の間に議論を引き起こし、アジア・太平洋賞特別賞を受賞した。文庫化にあたり、原本刊行後の議論を踏まえて「補章」を加筆。〔原本:『イスラーム世界の創造』東京大学出版会、2005年〕

目次

序論 「イスラーム世界」という語のあいまいさ
第1部 前近代ムスリムの世界像と世界史認識
第一章 前近代ムスリムの地理的知見と世界像
第二章 前近代ムスリムによる世界史叙述
第2部 近代ヨーロッパと「イスラーム世界」
第一章 マホメット教とサラセン人(一八世紀以前)
第二章 「イスラーム世界」の創造
第三章 東洋学と「イスラーム世界」史研究
第3部 日本における「イスラーム世界」概念の受容と展開
第一章 「イスラーム世界」概念の成立以前
第二章 日本における「イスラーム世界」の発見
第三章 戦後の「イスラーム世界」認識
終論 「イスラーム世界」史との訣別
おわりに
補章 「イスラーム世界」とグローバルヒストリー
学術文庫版のあとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

9
前近代のムスリム自身の世界認識、近代ヨーロッパでの「イスラーム世界」認識、そして近現代日本での認識と、三段階を経て我々日本人のイメージする「イスラーム世界」認識がどのように形成されていったのかを追う。三段階目では東洋史あるいはアジア史という歴史学の枠組みについても問題にしている。補章では「イスラーム国」について取り上げている。「イスラーム世界」という枠組み自体がある種のバイアスという指摘は、『中東政治入門』の論旨とも重なってくるだろうか。2021/02/20

chisarunn

5
標題の「イスラム世界とは」という概念が、地理的視点からあるいは歴史学の変遷から、どういうとらえかたをされてきたかのかを詳細に解説した本。すごく勉強になった。以前は、イスラム世界?イスラム教を信じている人が作っている国だよなー、と漠然と考えていたが、それは「日本?日本語をしゃべる人が住んでいる国だよな」というのとは違う。全然違う!!まあ、違うんじゃないか、と気づいたのであれこれイスラムのことを書いた本を読み散らかしているわけなのだが。紛争のことが述べてある本よりインパクトは少ないが、こちらが本道だな。2024/02/22

(ま)

2
19世紀に「ヨーロッパ」の対概念としてマイナスイメージで産まれたイデオロギー的な「イスラム世界」という語・概念の空間的・時間的なスパンの危うさ・・・刺激的2022/06/04

Go Extreme

2
「イスラーム世界」という語のあいまいさ 前近代ムスリムの世界像と世界史認識:前近代ムスリムの地理的知見と世界像 前近代ムスリムによる世界史叙述 近代ヨーロッパと「イスラーム世界」: マホメット教とサラセン人(18世紀以前)「イスラーム世界」の創造 東洋学と「イスラーム世界」史研究 日本における「イスラーム世界」概念の受容と展開:「イスラーム世界」概念の成立以前 日本における「イスラーム世界」の発見 戦後の「イスラーム世界」認識 「イスラーム世界」史との訣別 「イスラーム世界」とグローバルヒストリー2021/04/09

pintarou

1
社会科学系の論文はこうも回りくどいものか、図表で示せば一目で分かるのに、とは理系の感想。「イスラーム世界」という言葉が多義的に使用されていることを例証。確かに気持ち悪さは感じるものの、そんなに目くじらを立てることなのか。むしろ、「イスラーム世界」が多様に使われている様がおもしろかった。著者が標榜するグローバルヒストリーの中での位置づけに戸惑う、ということか。2023/04/19

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