内容説明
人のこころを解きほぐし、生きる力を与えるおいしい食事を、そっと差し出したい――。
そう願った佐藤初女さんが主宰した青森・岩木山麓の「森のイスキア」には、悩みや迷いを抱えた人が数多く訪れ、心のこもった手料理を一緒に食べて、生きる力を取り戻していった。
「初女さんのようなおむすびをつくりたい」という多くの人々に請われて各地で講演やおむすび講習会を開き、食の大切さを伝えていた初女さんが、料理のし方や心遣いを丁寧にわかりやすく語り尽くしたエッセイ。
食材を「いのち」ととらえ、いのちがささやく物語に耳を澄ませた著者ならではの“発見”が詰まった一冊。
おむすび、かぼちゃの煮物、ほうれん草のおひたし、ポテトサラダ、煮豆、りんごのコンポートなど、料理の作り方も多数紹介。
〈解説〉若松英輔
〈目次〉
1章 おむすびに心を尽くして/2章 いのちをいただく料理/3章 お母さんの手が伝えるもの/4章 病む人の心に寄り添うとき/5章 料理をすることが祈ること
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オレンジメイツ
24
食べることは生きること。食べるために丁寧に料理をし、心をこめる。初女さんにお会いしたかったなぁ。森のイスキアを写真で見るだけでも清々しい気持ちになる。2021/01/30
meow3
16
ホスピスではないけれど、「ライオンのおやつ」に出てくるライオンの家とマドンナみたい。森のイスキアは初女さんが亡くなられて閉じてしまったのが残念ですが、他の土地に遺志を継いだ方が姉妹施設を運営されているようです。2021/05/25
平坂裕子
5
人のこころをときほぐし、生きる力を与えるおいしい食事。どんなに心に身体に染み入る味であっただろう、食材を丁寧に扱い料理する大切さを私も見習い、大切な人たちと一緒に食べていきたい。2021/01/27
ことり
3
毎日食べる食事だからこそ、軽んじることもできるし、初女さんのように命につながる食事にすることもできる。命の移しかえのためにはきちんと目の前の食べ物に向き合うことが大事であると。人もまた同じであると。毎日を大事にしていきたいと思える1冊。2022/02/23