内容説明
20年間しゃべり続けるコアラのぬいぐるみ。
小さな出版社で校正の仕事をしている森星太朗は、幼いころ他界した作家で母の文子が残してくれたコアラのぬいぐるみを大事にしていた。
ムッシュ、と名付けられたそのぬいぐるみは、母が亡くなったその日、なんと突然しゃべりだし、以来、無二の親友になっていた(もちろん、世間には内緒のままにして)。
そんなある日、しゃっくりがとまらなくなった星太朗は、自分が母と同じ死に至る病に罹っていることを知ってしまう。ムッシュは、星太朗に思いがけないある提案をした。
温かで、名付けようのない思いに満たされる感動作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょこまーぶる
45
物凄く心が温かくなる一冊でした。母と同じ病気で余命宣告され青年が、亡くなった母から貰ったしゃべるぬいぐるみ「ムッシュ」とのお別れまでの話です。読み進めるうちに、青年が自分自身に投影しているような感覚になってしまう場面があったりして、ムッシュとの会話を楽しんでいる自分もいましたね。その会話も、物凄く相手の心情に共感しながら、相手の辛さを思いやっての言葉の一つ一つに心が打たれるものがありました。そして、強いメッセージじゃないけど所々に考えさせられる名言?が散りばめられているような作品でもありました。2023/11/14
こばゆみ
11
母と死別した27歳の星太朗と、母が遺した会話できるぬいぐるみ・ムッシュの物語。表紙、タイトル、あらすじで想うイメージ通りの、温かで優しい物語。でも予想外だったのは悲しさ。。。絵本でも良さげなじんわり良い話でした。2021/10/06
小春
5
ぬいぐるみが突然しゃべりだす。現実離れはしているけれど私ははまりました。母を子供の頃に亡くし一人で生きてきた星太朗。毎日を真面目にコツコツ生きてきたのに母と同じ病にかかり余命宣告をされてしまう。そんな絶望的な状況をムッシュがいつもと変わりなく寄り添ってくれた。残りの時間の中でやりたい事を二人でやっていくけれど別れのときはやってくる。きちんと畳まれた大きな布団と小さな布団‥もう駄目でした。涙が溢れて止まらない。。読んで良かった。ありがとう星太朗&ムッシュ。2021/09/19
千乃
5
さらさらと読みやすい文章で、悲しくて切ないけど、温かい物語。20年前、亡き母の手作りのコアラのぬいぐるみムッシュは、母が亡くなった日にしゃべって動くようになる。そして、星太郎も母と同じ病気になり余命半年と宣告されます。死と隣り合わせにいる星太郎に寄り添うムッシュ。残りの時間を星太郎とムッシュお互いに気遣いながら、相手を守りたいと過ごしていく日々。大切な人と離れるのはとても辛いけど、大切な人との過ごした時間はかけがえのない宝もの。心の奥ではずっといる、大切な人が…。2021/09/08
よし
2
せいたろとムッシュの絆が良かった。お母さんの本が並べられた本棚の奥に書かれた願いと、それまでの星太朗の言動の理由が結びついてグッと来ました。2021/12/15