福島原発事故10年検証委員会 民間事故調最終報告書

個数:1
紙書籍版価格
¥2,750
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

福島原発事故10年検証委員会 民間事故調最終報告書

  • ISBN:9784799327197

ファイル: /

内容説明

シンクタンクの「日本再建イニシアティブ」は、2011 年 3 月 11 日に始まる東京電力福島第一原発事故が最悪の時期を脱した後、民間の独自の立場から福島原発事故独立検証委員会(委員長:北澤宏一前科学技術振興機構理事 長)─ 民間事故調─ を設置し、事故の検証を行い、そこから教訓を引き 出し、2012 年 2 月 28 日、それらを盛り込んだ調査・検証報告書を刊行しました。2011 年夏、民間事故調のワーキング・グループを立ち上げてから半年にわたる突貫作業でした。
8 年後の 2019 年夏、私たちは「福島原発事故 10 年検証委員会」を立ち上げました。いわば第二次民間事故調です。
2021 年 3 月 11 日の事故発生後 10 年のフクシマの真実に今一度正面から向かい合い、私たちが民間事故調で提起した課題と教訓をおさらいし、日本は そこからの教訓をどこまて?学んだのか、実際のところ何をどのように活かしたのか、また、十分に学べなかったことは何なのか、それは何故なのか、要 するに「私たちは何を学んだのか」を検証するためです。
民間事故調は一言でいえば、「備え(response, preparedness, preven- tion)」に焦点を当てて検証しました。それに対して、今回の第二次民間事故 調は「学び」に照準を合わせて検証するのを目的としています。民間事故調の報告書は「最終章」(福島第一原発事故の教訓─ 復元力をめ ざして)においてフクシマの悲劇を「忘れてはならない」と結んでいます。 人間社会における悲劇的事件・事故・事象を常に検証し続け、そこから学び
続けることが、「忘れない」ことのもっとも真摯な実践であるはずです。このたび再び、民間事故調を設立し、「10 年後のフクシマ」を検証することにしたのはその実践の一環にほかなりません。しかし、実際のところ、「忘れない」ことを実践し続けるのはなかなかに難 しい営みであるということを痛感します。

福島原発事故を調査・検証した民間事故調は、報告書を作成し、それを世に問うに当たって、「真実・独立・世界」をモットーに掲げました。まず、調査・検証の前提である事実認定に当たっては当事者に直接、会って話を聞くことを心がけました。それは、証拠本位(evidence-based)の調 査に不可欠です。 次に、国家全体、社会全体への意味合い、つまり全体像を重視しました。日本の場合、行政も企業も司司のムラの虜となりがちで、「ムラと空気のガバナンス」の組織文化が生まれやすい。課題設定も解もタコツボ的な「部分最適解」になりやすい。そうではなくマルチ・ステークホールダーの利害関 心と視点を踏まえた「全体最適解」を追求することが大切です。それを効果 的に行うには、どこの虜でもない独立の立場の主宰力(convening power) が必要です。
さらに、検証によって得られた知見を世界と共有し、世界と対話し、そこ でのフィードバックを吸収し、それを世界の標準とルールの形成に活かすことを目指しました。日本は長い間、世界の標準・ルール形成において受け身で臨んできました。 フクシマの経験とそこでの教訓を世界と共有することで世界の原子力安全の 向上に資することは旧ソ連のチェルノブイリ事故に並ぶレベル 7 という史上 最大規模事故の原子力災害を起こした日本の責任にほかなりません。 今回も、こうした視点と視野を踏まえ、調査、検証するよう努めました。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラピスラズリ

0
「小さな安心を優先して大きな安全を失う」「宿題型規制から効果型規制へ」など、問題点を的確に短い言葉で表現していて、非常に分かりやすかった。インタビューでの内容も取り繕った言葉ではなく、現場の人たちの「生の言葉」が書かれており、とても有意義な内容であった。東電が科学を軽視したことが事故の原因のひとつであったが、国民も科学を軽視して安心を求めたという点で、大きな責任があるのでないかと感じた。2025/04/10

もくのすけ

0
この10年、事故の「近因」の除去は熱心でも「遠因」の克服には臆病。「遠因」は①「安全神話」の基礎となる「宿題型」規制②電力業界の「ムラと空気のガバナンス」③「国策民営」がもたらす責任の曖昧さと東電の企業文化の惰性④リスクコミュニケーションの欠如⑤世界と共に安全規制を構築する参画意識を欠いた「ガラパゴス化」心理⑥「究極の問いかけ」に正面から向き合うことを忌避する「国民安全保障国家」の未熟さ◆「遠因」が克服できない理由①見える事故(電源喪失等)には細々と対処するが見えない事故(サイバー攻撃等)への想像力の欠如2021/06/02

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/17456089
  • ご注意事項

最近チェックした商品