カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話

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カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話

  • 著者名:メアリ・ノリス/有好宏文
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 柏書房(2021/01発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784760152599

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内容説明

「自分の仕事で好きなのは、人となりのすべてが求められるところである。文法、句読法、語法、外国語、文学の知識だけでなく、さまざまな経験、たとえば旅行、ガーデニング、船、歌、配管修理、カトリック信仰、中西部、モッツァレラ、電車のゲーム、ニュジャージーが生きてくる」(序章より)

★推薦文★

鉛筆と紙の辞書を愛し、校正が「出過ぎた真似」といわれるのを恐れている“女王。他人とは思えない。

――牟田 都子(校正者)



正しい英語とは何だろう?
カンマの思想とは?
鬼校正者はどこを見る?
今、英語の「揺らぎ」があなたを魅了する。

――阿部 公彦(英米文学者)

★概要★

誤字・脱字や言葉の誤用を正す「校正」。ベテラン校正者の眼を通じて見るそれは、規則と心情とのあいだで揺れ動く、意外なほど人間らしい仕事だった!
アメリカの老舗雑誌『THE NEW YORKER』の校正担当者で、“Comma Queen“〈カンマの女王〉の異名をもつ著者が、その半生と、校正の現場で遭遇したミスや「揺れ」を振り返る――。“between You and Iのようなネイティブでも間違える文法や語法、ディケンズ、メルヴィル、ディキンソンら著名作家たちが操る記号――カンマやダッシュ、コロン――の独特な使い方、クセが強い校正者たちのエピソード、トランスジェンダーのきょうだいを呼ぶときの代名詞etc…。「正しい英文法」だけでは白黒つけられない、迷いと葛藤の日々を描く唯一無二の校正エッセイ!

目次

■内容

序章 カンマの女王の告白
〈足確認係からミルクウーマンへ/酪農人からニューヨーカーへ/すべての経験が生きる仕事〉

1章 スペリングは変人のもの
〈『WebII』と『Web 3』の聖なる序列―辞書の話/どうしてゼッドがズィーなのか―綴りと発音/centreをcenterに――アメリカ式スペリング/変人の聖地へ――メリアム・ウェブスター社/初めて拾った日―ゲラ読み宙に舞う〉

2章 どっちが魔女(ウィッチ)なんだか
〈ゲラ上のプロポーズ――著者への指摘出し/制限なんか嫌いだ――関係代名詞のthatとwhich すべてがここに集う――集約部/たぐい稀なるジョン・マクフィー――出すぎた鉛筆/魔法使いジョージ・ソーンダーズ――ぶらさがり分詞〉

3章 彼と彼女のむずかしい問題
〈さようなら、スチュワーデス――女性形の職業名/ペニスはheで受けるのか――代名詞の性/数と性はどちらが大事――?単数のthey 弟が妹になるということ〉

4章 屈折してるね、あなたとわたし
〈車はどうして動くのか――言語の構造/あなたとわたしの過ち――between you and me Iはmeのフォーマル版――?屈折変化/誰がために mはある――whoとwhom〉

5章 カンマは気まぐれ
〈J・F・ケネディはストリッパー――?シリアル・カンマ/プレゼントにわたしを買った――ディケンズのカンマ/立ち上がるための時間――メルヴィルのカンマ/何度も死なないために――『ニューヨーカー』の細かなカンマ/形容詞にスピンをかける――ジェームズ・ソルターのカンマ/若気の至りは文末に――イアン・マキューアンのカンマ〉

6章 『Moby-Dick〈白鯨〉』にハイフンを入れたのは誰?
〈バンパーとレジ係には要警戒――分けるハイフン/辞書に振り回される――繋ぐハイフン/カンマ・クイーンとミスター・ハイフン――芸術的ハイフン『/Moby-Dick〈白鯨〉』にハイフンを入れたのは誰〉?
7章 ダッシュ、セミコロン、コロンがバーに入ると
〈しかるべき長さ――エムダッシュ、エヌダッシュ/この曖昧なもの――ディキンソンのダッシュ/お高くとまったお方――ヘンリー・ジェイムズのセミコロン/折り目正しい執事――ケレファ・サナのコロン〉

8章 アポストロフィの浮き沈み
〈自然の浸食作用/アポストロフィ保護協会/八百屋は面白い〉

9章 使うなら * 正しく使おう * Fワード
〈押さえつけるとむしろ ******/ラッパーを校正すると******/遠回しに言うとかえって ******〉

10章 鉛筆狂のバラード
〈いちばんの鉛筆を求めて/すべての鉛筆はサンドウィッチである/区切りをつける/いざ鉛筆削り博物館へ〉

終章 百万ドルの校正者
〈百万ドルの校正者/図書館/カンマ、宙に舞う〉

謝辞
引用箇所
読書案内
校正という、人間の仕事――訳者あとがき
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

sayan

35
著者の独特な語り口は、学生時代に悩まされた句読記号がいずれも魅力的に思えてくるから不思議である。ヴィクトリア朝時代の作家、巨匠ディケンズの作品から、カンマの女王曰く、句読記号「で」顔文字((((:>))を作るのではなく、そこ「に」感情を込めたと評する。確かに”ーー”(W・ラッシュ)に込めた脅しはダイレクトに伝わってくる。そういえば、英訳「JR上野駅公園口」で主人公の独り言や短い会話場面で現れる連続した「...」ピリオド表記を思い出す。彼の言葉にならない孤独や苛立ち感情がこもっていたなと改めて思いを馳せる。2021/02/11

たまきら

32
すごく楽しみにしていた話題作です。That which (that witch)もそうだけど、いかにもニューヨーカー誌と言いたくなる言い回しや言葉と韻遊びに、どの章でも笑いが止まりませんでした。これを訳すのは大変だったろうなあ!横書きで最初戸惑いましたが、これは仕方ないなあ。以前映像の仕事をしていたとき、ギリシャ人が「ちょっと!Greyのスペル間違えてるじゃないか!」首をかしげながら直すと、アメリカ人が「ちょっと!Grayのスペル間違えてるじゃないか!」…ちなみにどちらも正しいようです。2021/04/19

くさてる

18
「ニューヨーカー」の校正係として働く著者によりエッセイ。英単語や文法に詳しければもっと面白いんだろうなと思う箇所も多かったけれど、言葉の誤用や間違いに対する著者をはじめとする編集者のこだわり、そして作家とのやりとりなどが面白く、英単語ならではのFワードについてや、ハイフン、セミコロンなどへのこだわりを語った章分けも興味深かった。なにより著者の自由な語り口が良いです。2021/03/13

菫子

15
THE NEW YORKER』の校正者で、“Comma Queen“〈カンマの女王〉の異名をもつ方の校正エッセイ。とても楽しかったです!!例えば「weird」はコンテンポラリーロマンスの洋書にもたくさん出てくるから私は最初の頃に覚えた単語なのだけど、著者さんがこの単語にトラウマがあるというのも面白かったです。2021/01/04

mawaji

9
ディケンズやメルヴィルのカンマの使い方を厳しく糾弾し、ヘンリー・ジェイムスの文章からセミコロンやダッシュの正しい使い方を示すカンマの女王の校正エッセイ、堪能しました。好きな言葉が”weird”というのも親しみが湧きます。言語における文法的な性についてはドイツ語フランス語で学生時代に苦労させられたことを思い出しました。「鉛筆狂のバラード」は著者の鉛筆愛が感じられる味わい深い文章でした。「すべての鉛筆はサンドウィッチである」というのは小川洋子さんの「そこに工場があるかぎり」で読んで知ってたのだ。装丁もステキ。2021/06/27

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