内容説明
白洲正子の文筆に動かされた著者が、知る人ぞ知る「かくれ里」=隠された本物の場所を巡る。ひっそりとした寺社、山間の集落、海沿いの棚田、離島の原生林、城下町の白壁、断崖に囲まれた自然の入り江――。人が密集する著名な観光地ではない。SNSで話題を呼ぶスポットでもない。そんな場所にこそ、日本の魅力が隠されている。滞日50年を超える著者が、自らの足で回った全国津々浦々の「かくれ里」から厳選した10カ所を、こっそりと紹介する。
目次
はじめに アレックス・カー
1 日吉大社、慈眼堂、石山寺(滋賀県)
2 羽後町田代、阿仁根子(秋田県)
3 能登半島(石川県)
4 八頭町、智頭町(鳥取県)
5 奄美大島(鹿児島県)
6 萩(山口県)
7 三井寺(滋賀県)
8 南会津(福島県)
9 青ヶ島(東京都)
10 三浦半島(神奈川県)
おわりに 清野由美
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けぴ
53
10カ所の日本の原風景が紹介されている。能登半島、奄美大島、萩、三井寺、三浦半島は訪れたことがある。ほかの5カ所も興味深く、特に青ヶ島の航空写真には魅せられました。いわゆる観光地ではないものの、今回の本がきっかけに観光地化されることを危惧して詳細な場所は秘匿されて紹介されているところも多い。旅行になかなか行けないコロナ禍で良い目の保養になりました。2021/08/03
skunk_c
53
この著者がやっている滞在型の体験「観光」についてはテレビで見た覚えがある。多分自分は参加しないと思っているけど、感覚的にはとても共感を覚える。観光の難しさ(手つかずの自然は紹介すれば「手が付く」という矛盾)にちゃんと向き合っている(「本書で紹介した場所には行って欲しくない」と書いてしまうあたり)。行ったことのある場所、近くに行ってロケーションが分かるところも多く、著者の望みに反してきっと行ってしまうだろうな(ただし密かに)。最後の三崎界隈、写真と文章でほぼ場所が分かってしまった。長年歩き回っているので。2021/03/10
さきん
41
表紙の写真いいなと思った。あいだあいだにセンス光る写真が貼っていて、内容はともかく取っておきたくなる。日本の前衛芸術の話はよく分からなかったが、土方巽という人物が書いてあったので、これが理解の切り口になると思った。延暦寺と三井寺の抗争や密教および関連する芸術に惹かれるフェノロサ、岡倉天心、さらに世界一の日本コレクションを誇るボストンのつながりまで平易に解説してあってわかりやすかった。最近の問題については、オーバーツーリズムについて力説。2021/01/01
金吾
29
行きたくなる場所が増えていきますがなかなか行くことはできないと思いながら読みました。いい本でした。2022/10/08
shincha
28
これを米国の人が書いたということに驚きとともに尊敬の念を感じずにはいられない。ただ単に観光地を解説するのではなく、その土地の歴史文化を研究したものしか発見できない驚きやすばらしさを作者の言葉で綴っている。仏教と神道のかかわりや、その時代の背景まで、日本人である小生でも勉強不足で、新しい発見が随所にちりばめられています。写真もふんだんにあり、その場所の雰囲気が言葉だけではなく、感じられ、行きたくなってきます。四季がはっきりとしていて美しい自然と文化を持つこの国をさらに好きになりました。2021/01/30
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