講談社文芸文庫<br> 夏の流れ 丸山健二初期作品集

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講談社文芸文庫
夏の流れ 丸山健二初期作品集

  • 著者名:丸山健二【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 講談社(2021/01発売)
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  • ISBN:9784061983960

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内容説明

平凡な家庭を持つ刑務官の平穏な日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させ、死刑執行日に到るまでの担当刑務官と死刑囚の心の動きを、緊迫感のある会話と硬質な文体で簡潔に綴る、芥川賞受賞作「夏の流れ」。稲妻に染まるイヌワシを幻想的に描いた「稲妻の鳥」。ほかに、「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「チャボと湖」など、初期の代表作7篇を収録。
◎「丸山健二の文学性は、ジェームズ・ジョイスに通じる。本作品集に収録されている初期短編を改めて読みながら、私はそう思った。(中略)すぐれた芸術家は生涯を通して変貌を続けるが、若き日の作品群は作品を受容する側にとっての定点を提供する。ピカソのキュビズムは、初期の見事な絵画によって担保される。このような文脈において、本文庫に収められた初期の短編の数々は、弱冠23歳で芥川賞を受賞し、長年文壇と一線を画して孤高の道を歩んできた丸山健二の文学の全体像を理解する上で、重要な意味を持つのではないか。」<茂木健一郎「解説」より>

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

330
表題作は、第56回(1966年下半期)芥川賞受賞作。死刑囚監房の刑吏を語り手とした珍しい小説。死刑執行のくだりをはじめ、全体として(おそらくは綿密な取材によるもの、もしくは作家の想像力によるものだろうが)きわめてリアルな感触に満ちている。生の側にいる者が死を執行する、そこには超えがたい一線があるだろう。生と死の境界は、いわば絶対である。そして、法の名の元に死刑を宣告するのは国家だ。だが、それを行うのは市民の誰かなのだ。我々は日頃、それが見えないふりをしているのだが、丸山は直視し、書くことで問いかける。2015/11/11

遥かなる想い

219
第56回(1966年)芥川賞。 刑務所につとめる私と堀部、中川と 囚人たちの 奇妙な距離感がいい。 夏の日の釣りと 刑の執行が、光と影のように 静かに描かれている。 日常に潜む不気味なものが、読者に 伝わってくる、そんな作品だった。2017/08/19

kaizen@名古屋de朝活読書会

131
【芥川賞】前半は刑務所に勤務する主人公の日常生活。後半は死刑執行にまつわる、新人の迷い、囚人、刑務官の先輩の対応など、劇的な部分を、前半と同じような平板に記述している。良いと思う人と、あざといと思う人がいるかもしれない。自分では、読み進めやすかった。いろいろな仕事、いろいろな状況を知ることが出来る。著者の経験ではないことを表現する技法としては妥当なのだろう。銓衡委員である三島由紀夫が「男性的ないい文章であり、いい作品である。」という評論が分かり易い。平板な評価に意味がある作品なのかもしれない。2014/02/23

absinthe

118
死刑囚が収容される拘置所の話。主人公は刑務官。刑を待つ死刑囚に名前はなく単に囚人。主人公と囚人の心の距離でもある。囚人の背景を語らないことで、逆にその囚人のまさにその今についての描写が真に迫ってくる。人間は薄っ皮の理性をまとった野獣なのだと思う。往生際がとても悪く描かれているが、その生への執着もまた人間の性だ。普通の家庭と囚人の境遇、仕事を淡々とこなして見える主人公と辞めたいと言い出す中川。対比によって印象が深まっている。2024/05/30

みっぴー

52
《2018夏物フェア》第六弾。表題作は芥川賞受賞作。作者は当時二十三歳で、綿矢りさに抜かれるまでは、最年少受賞者でした。詩的な表現は一切なく、簡潔というか、カッターナイフで勢いよくスパスパ切ったような鋭い文章。会話も短く、テンポがよい。しかし軽いどころか、量感を感じさせる。二十三歳が、死刑囚と看守、ひいては命をテーマにした作品を書き上げることに驚愕。『雁風呂』『その日は船で』『血と水の匂い』も印象に残りました。どの作品も、女性がいつも悲しんでいるような気がします。解説は茂木健一郎。2018/07/23

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