内容説明
ニューヨークの下町で母親と暮らす少年セドリックは、金色の巻き毛に愛くるしい顔立ち、そして誰とでもすぐに友だちになれる天真爛漫な男の子。ある日、イギリスの貴族である祖父の跡取りとして迎えられることになり、母とともに海を渡る。だが、冷酷な祖父ドリンコート伯爵は、アメリカ人の母親を憎み、ふたりを引きはなそうとしていた。それでも、人を疑うことを知らないセドリックは、祖父を慕い、よい伯爵になろうと無心に努力する。その姿が周囲の人々の心をつかみ、いつしか老伯爵の心も打ち解けていくが……突然、衝撃の事件が巻き起こり、運命の歯車が動きだす――!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
73
簡単に言っちゃうと、出木杉くんとスクルージの物語——などと身も蓋もないのですが、さすが世界的名作、心揺れるポイントがいくつも有り、温かな気持ちになります。33年ぶりの新訳だそうです。とても読みやすい。2021/02/05
くたくた
39
小公子読み比べ中。この本は羽田詩津子さん訳。シャム猫ココシリーズでおなじみの翻訳家さん。以前に読んだ川端康成の訳よりは格段に読みやすい。比べてみると、川端は結構好き勝手に訳してるな、と思う。こちらの方が格段に丁寧。やっぱり女性の翻訳の方が優しい。まあ、セドリックが良く出来た子なのだが、セドリックを通じて伯爵を操作する(?)エロル夫人にややモヤる。セドリックが良い子過ぎるのもなんなのだが、孤児だったエロル夫人が善良で気品ありすぎなのもちょっとどうなの、と思わないでもない。でもまあ、1886年発売当初から2024/08/26
金吾
27
◎純粋なセドリックの影響で伯爵がどんどんいい人になっていくのが楽しいです。愛情のすごさを感じます。2025/09/04
mahiro
21
初めて読んだのは村岡花子訳、優しい感じの文で子供にはぴったりだったと思う。今回読み返す時他社の文庫版と比べて村岡訳とは雰囲気の異なる方を選んだ、作品の印象が変わる物ではないけれど。何度読んでも安心してストーリーを楽しめる、セドリックが良い子なのは勿論だけど周りの人もみんなセドリックにコロリと転がされる『善人』ばかりで微笑ましい気分になる、セドリックが成長した時本物の悪人に出会って騙されたらどうするんだろうと初読みの小学生時代でさえ思ったが、持前の心の豊かさと勇気で乗り切るに違いないと思っておこう。2021/03/07
キキハル
19
急に読みたくなって。家にあるはずなのだけれど、どこにあるのか探しても分からなくて買ってしまいました。こういう純粋無垢な物語を欲するのは、たぶん少々疲れているからなのかも。淀み濁った心にはいいカンフル剤になります。後は小公女も読みたいが家の中で探す気力が湧いてこない。小人さんがそっと机の上に置いておいてくれないものかと、密かに期待している。2021/02/12