内容説明
浚介は游子の病室を訪れた。二つの心は、次第に寄り添ってゆく。山賀と大野は、哀しみを抱えた家の扉を叩く。ふたりの耳は、ただひとつの言葉を求めている。冬島母子をめぐり争い続けてきた、馬見原と油井。彼らの互いへの憎しみは、いま臨界点を迎えている――。悲劇によって結ばれた人びとは、奔流のなかで、自らの生に目覚めてゆく。永遠に語り継がれる傑作、第五部=完結篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
200
完結編。芳沢家をめぐる 大野・山賀夫妻の会話が 再読となると、落ち着いて 読めるのが何故か不思議な 気がする。 「家族とは何なのか」 「壊れた家族を救うにはどうしたらよいのか」を 世に問う骨太の物語だった。 2014/10/18
抹茶モナカ
125
読み終わって、少し救いを感じられたのは、良かった。ミステリーとしては、犯人や動機は早い段階でわかるし、タイトルが既にネタバレなんだけど、面白く感じた。精神科外来に通院中の僕としては、読破する自信がなくなるくらい、救いの予兆もなく、ギリギリ締め付けられる感じもあったから、無事に読了出来て、嬉しい。2014/07/02
修一朗
115
タイトル通り、少し希望の光が…というところで終わりでした。全て救われた、という締め方ではありませんでした。皆さん考えて下さい、ということだなと…。じゃあこうすればいい、という結論は出そうにありませんが。作者の言う「何でもかんでも家族に、という風潮のアンチテーゼ」は伝わりましたが、じゃあ作中で極端な形で示した「排除の論理」を全くの間違った考え方だ、という結論とも違う。読んだ後も心にずっしりと残ってしまうのが天童流ということですね。「永遠の仔」もそうだった憶えが…これからドラマ見ます。2014/08/14
かみぶくろ
95
畳み掛けるように泣かせに掛かってくる第五部最終巻。この作品、自分基準でいうと紛れもない傑作である。自分にとって良い作品とは、マクロな社会的視点とミクロな人間的視点の両方を持つ、社会や人間の負の面から逃げない、真正面から真摯に悩む、基本的に解決はしない、でも僅かに希望が滲む、みたいな感じだが、この作品はその全てを備えていたように思う。登場人物も誰もが人間臭く不器用で、一緒に終わりのない旅をしているような心地だった。こういう作品との出会いを求めて、読書の旅も続くんだろうな。2020/05/03
ミホ
91
全五部これにて家族狩り完ではありますが、タイトル『まだ遠い光』の元、お話はまたこれからだと思えます。さまざまな人物が親・子、また親と子の両面からの視点があり狂っていく様がずっしり重く自分の心情にすら痛めつけられるようで残虐と言えば残虐。すべて幸せな良き終わりとは言い難いですが、その遠い光がちゃんと日が射す光であることを願います。極端な程問題を抱えた家族がでてきますし悲しいことも沢山でしたが壮絶で壮大な大作でした。2015/03/15
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