内容説明
新・芥川賞作家の鮮烈な青春小説。人の心に触れる親指……。「僕はこれ以上、とても十七歳でいられない。色んなものが煙のように消えたこの季節から、一刻も早く別れを告げたいと思った。十七歳であることを憎んだ。」――いびつな、長すぎる、僕の左手の親指は、携帯メールの早打ちが出来る。そして、他人の心に触れることも。顔に傷を負ったみゆき、家族から孤立する清春ら友人たちと、「いまいましい若さ」を共有しながら過ごした17歳の日々。『ミカ!』『ぎぶそん』など、児童文学でも注目を浴びる芥川賞作家が描く、鮮烈な青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
72
全くとりとめのない話だったが17歳の高校生といったらこんな感じなんだろう。(小説が)良いとか悪いとか考えがまとまる前に全23章読み終わってしまった。最後に親指の下で何が起きたのかは深く考えないことにする。2016/07/01
チアモン
66
17歳・・・。私にも高校生の時代があったなぁ。この作品は終始暗い感じがした。伊藤たかみ氏の作品はこんなに暗かったか?とても不安定な感じがした。ラストは少し、希望というものが見えてきてホッとした。もう少し若いときに読んでいたら共感できたかな。2020/05/27
coco夏ko10角
19
暗かったり重かったりすることばかりだ…。そこからのあのラスト…。2014/12/05
F
19
17歳の僕と友達らが「いまいましい若さ」を共有しながら過ごした日々を描いた青春小説――。いびつな、長すぎる左手の親指にはメールが早打ちできるくらいにしか取り柄はないけど、それだけだって良いのだ。そりゃ、大した内容なんてない言葉だけどさ、誰かに言えば、次に何かまた返ってくる。何もやらないよりはずっといい。言葉が返ってくるというのはそれだけで幸せなことなのだ。だから僕は親指を突き立てて歩く。”海上に出よう”というスキューバのサインのごとく。暗いトンネルを越えるため松明のごとく。2011/11/19
hit4papa
16
思うに任せない高校生たちの日常を描いたほろ苦い青春小説です。左手の親指が長すぎる主人公しゅんすけ。幽体離脱をしてしまったことを契機に、メールの早打ちしか使い道のなかったいびつな親指を通して、人の悲しみを知ることになります。スーパナチュラルは味付け程度ですが、設定の妙が十分に生かしきれているかというと、疑問符は付いてしまいます。不完全燃焼です。
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