内容説明
「顔」とはなんだろう。そもそもなぜ顔はあるのか。どこからどこまでが顔なのか。なぜそこに顔があるのか。何がついていれば顔なのか。顔は何をしてきたのか。顔がない生きものと顔がある生きものの違いとは。人類の顔はなぜこうなったのか。東洋と西洋、男と女、大人と子供の顔はどう違うのか。これから顔はどう変わっていくのか。
顔についてのあらゆる疑問に、人類形態進化学の大家が答える!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
125
一定の方向に移動する動物の口は咀嚼器、ひいては感覚器集中の根源となり、社会的生物なヒトはコミュニケーション部位としても顔を進化させた。部位の各論や他生物との比較、更には人種・性別比較、徳川家の正室側室比較、日本人顔の由来も掘り下げ、環境との恭順でとどまらず収奪者になった人類のグロテスクな実態と未来像まで提示される。特に「違いがない」という考えに依拠した人種差別反対思想の非合理性や、硬いものを食べないことで世界中で最も歯並びが悪い集団となった日本人若者への警鐘は腑に落ちる説明。顔はその文明の「顔」でもある。2023/12/01
Vakira
49
空想科学少年だった頃の僕の愛読書はブルーバックス。「いつもポケットに科学を」てなフレーズにガッチリ肝捉まれました。学校の勉強より未知な世界へ。相対性理論、進化生物学の知識はブルーバックスからでした。でも量子力学で挫折。概念は理解できますが自分なりの納得が出来なくなって断念。最近は普通に小説の方が面白くなってかなりの間ブルーバックスにご無沙汰。この本はたまたま手に取って立ち読み。自分の顔のルーツは?なんか面白そう。で久々にブルーバックスを読むことに。顔の情報だけでなく外部環境情報の受信機関としての進化論。2022/06/07
棕櫚木庵
27
1/3)顔について主に生物学的視点から論じた本.興味深い事実が豊富に述べられているだけでなく,”鳥類は4色を知覚するから,恐竜の体色は派手だったかもしれない“など,発想の面白さも楽しめた.その一方で,真面目な顔で微妙な冗談を言っているようなところがあり,クスりとさせられる.「涙湖《るいこ》(演歌に出てきそうな名称だが正式の解剖学用語)」とか.以下,面白かったことをいくつか.▼一方向に移動しながら捕食する生物は,身体の先頭に摂取口があり,その近くに感覚器官があると効率的.それが顔(p.18ff).2021/04/15
ゲオルギオ・ハーン
21
顔について人、動物関係なくどうしてその構成と配置になったかということを解説した面白い一冊。もともとは人の顔について気になり、手に取ったのですが読んでみると、人以外の動物や魚、虫、鳥たちの顔立ちについての解説が一番面白く読めました。あとは日本人の顔の移り変わりについても書かれていて、鎌倉時代や江戸時代の顔もビジュアルつきで解説しているので歴史的な視点に切り替えて当時の人々のことを想像できたのでそれもまた楽しかったです。2021/02/13
DEE
15
人間の顔はどうしてこのような形なのか。加えて動物についても触れられている。 環境や食生活の影響により何万年もかけて今の顔になった。そしてもちろんこれからも顔は変化していく。 予想される未来の顔は今の感覚ではかなり不気味なものだけど、美的感覚も伴って変わるだろうから問題ないのかもな。 著者は「大顔展」の関係者。表紙のイラストを見た時にそうじゃないかと思った。 大顔展、よかったな〜2021/05/03