内容説明
新書『応仁の乱』がベストセラーになって以降、関心が集まっている「足利氏」は、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』でも注目された。本書は、戦国を語る上で欠かせない「足利氏」をテーマに、7名の歴史時代作家が書き下ろした短篇小説を収録したアンソロジー。著者は、2020年上半期の直木賞を受賞した川越宗一をはじめ、大人気シリーズ「口入屋用心棒」の著者の鈴木英治、2020年の中山義秀文学賞を受賞した木下昌輝など、ベテランから新進気鋭まで、実力派ばかり。これまで戦国史を語る上で、メインで書かれることがなかった「足利氏」を軸に、この時代の画期となる出来事を時系列で描いていくことによって、“もう一つの戦国史”が浮かび上がる。 ■目次 ●第一話 早見俊 ◎嘉吉(かきつ)の狐――古河(こが)公方家誕生 ●第二話 川越宗一 ◎清き流れの源へ――堀越(ほりごえ)公方滅亡 ●第三話 鈴木英治 ◎天の定め――国府台(こうのだい)合戦 ●第四話 荒山徹 ◎宿縁――河越夜合戦 ●第五話 木下昌輝 ◎螺旋(らせん)の龍――足利義輝弑逆(しいぎゃく) ●第六話 秋山香乃 ◎大禍時(おおまがとき)――織田信長謀殺 ●第七話 谷津矢車 ◎凪(なぎ)の世――喜連川(きつれがわ)藩誕生 ●コラム 喜連川足利氏を訪ねて――栃木県さくら市歴史散歩 収録作品は、いずれも書き下ろし!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
132
こういうのが読みたかった!最近、室町づいてるのは重々自覚しながらも…これは面白い!斜陽の兆しをみせ始めた室町幕府。6代義教の恐怖政治が発端となった古河公方の誕生から江戸時代の喜連川藩発足までを名手たちが連作短編の如く競い紡ぐ。どの話しにも登場するさくら一族こそ、このアンソロジーの重要アイコン。千古の不二丸が時代を越えて守り続ける足利の血脈に歴史ロマンを感じずにいられません。川越さんの「清き流れの源へ」は早雲の伊豆侵攻スピンオフといった趣。流石、直木賞の底力か巧さが光ります。巻末の系図と年表は超ありがたい。2021/01/17
うののささら
95
足利基氏に始まる関東公方のは話。尊氏は後醍醐天皇が暴れてたから鎌倉に幕府がつくれず、一門にも力を与えすぎて群雄割拠にしちゃったからな。頼朝、信長などと比べるとあまいな。腹違いの兄弟の骨肉の争いは全国に広がり、自分の意思に関係なく戦いに組み込まれていく。くじ引き義教がもうちょっと生きてたら足利家も安定したかもしれないが、下克上の流れは止められなかったかな。圧倒的な力をもった信長の登場まで暗黒時代は続きます。喜連川は温泉とゴルフのいいとこです。2021/01/21
ポチ
61
鎌倉公方、古河公方、堀越公方、小弓公方、それから喜連川藩。室町時代から江戸時代が始まる前までの関東の足利公方達。足利氏系図と関連年表があるので時系列で追えるが、何故こんなに色々な公方がいるのか、複雑だ。2021/01/12
kawa
39
源義家を始祖とする足利一門の関東(鎌倉・堀越・古河・小弓)公方の争いを忍びの集団・さくらの一族と絡めて描く歴史アンソロジ-。描かれる時代は、室町末期・応仁の乱の直前から徳川幕府成立までの約150年間、その間のエポックな歴史的事件を題材、比較的マイナ-なところに焦点を当てたドラマなので、読みの鈍るところもあったが、異なる作家さんが執筆する割りには、連携がスム-ズで読み難さがない(びっくりドキドキする展開はないが…)。まずは成功と言って良い出来だと思う。2021/02/01
TheWho
25
応仁の乱より先にあり、戦国時代の先駆けであった関東争乱を永享の乱後の鎌倉公方から古河公方の誕生に鎌倉公方に対立する室町幕府より擁立された堀越公方の滅亡。そして北条氏から関東制覇と古河(鎌倉)公方の滅亡と複雑怪奇な関東争乱のあらましを従来大内・扇谷の両上杉管領家や北条氏、長尾氏の視点が多かったが、一貫して公方方と架空の忍者集団さくら一族の視点で、7名の作家が書き綴る稀有な作品。本家将軍家は滅びるが江戸期に喜連川藩で細々と生き残る足利氏の哀愁を感じさせる作品です。2021/02/22
-
- 電子書籍
- 既婚者サークル~妻と夫の別の顔~【フル…
-
- 電子書籍
- 心と体のトラブルを解消するヒーリング呼…
-
- 電子書籍
- 明日、学校へ行きたくない 言葉にならな…
-
- 電子書籍
- 旅がもっと面白くなる地理の教科
-
- 電子書籍
- 家政婦さんっ!【第17話】 魔法のiら…