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内容説明
人には誰でも「生きられなかった人生の半分」がある。その影の部分に光をあてて、「自己」を実現して生きることが人生の真の目的であると、心の医者・ユングは考えた。著者は、自らの臨床経験を踏まえて、ユング心理学における無意識・夢・自己実現、クライアントたちとの心のドラマ、河合隼雄氏との出会い等を、平易な語り口で解き明かしていく。本書で語られる「臨床ユング心理学」は、これまで気づくことのなかった人生の豊かな可能性を教えてくれる、新しい心理学である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
morinokazedayori
31
★★★★★入門書として、様々な概念や療法が、とても分かりやすく解説されている。巻末の文献一覧も、とても参考になる。2017/10/05
もちもちかめ
17
ちゃんとした本。ユングの本と言うよりは、ユング心理学を学んだ山中先生の臨床への態度の本。山中先生もかなり偉いひとなので全く間違ってなくて正統で読み応えもあり勉強になるのですが、後半ユングの件はかなり置き去り笑。でも読んで良かった。巻末に参考文献たくさん。2022/10/31
うえ
8
「ユングはその後半生で宗教史にかなり深くコミットしていく…神について問われた際に、彼は I know the godと答えている。ここでユングが言いたかったのは、自分は神を信じる、信じないというレヴェルを超えて、神が実在していることをずっと知っているということ…これは、プラトンが『饗宴』でアポドロスの言葉として述べているくだりがベースになっている…また別のところで彼は、彼の父は、信仰者として神を崇め奉り、それを民衆に説いて回りながらも、それを自らの宗教体験に基づいて知っていたわけではなかったと述べている」2020/08/14
mint
7
他、分析系の本を読むための副読本として。臨床経験の目線が太いので、非常に分かりやすくまとめられており、神経症・精神病・自閉症などの括りのレベルを、どの目線でとらえて区別するのかなどがざっと入りやすかった。まさに「臨床」。2022/06/30
茶幸才斎
5
心理療法家として神経症や心身症などの患者に接する筆者が、ユング心理学の基礎と、絵画療法や箱庭療法などの臨床の方法論について解説している。筆者の仕事は、望まない生き方に苦しむ患者が、自ら在るべき生き方を見つけ出す手助けをすることだと云う。自閉症の子らは、我々の社会が抱える問題をいち早く鋭敏に察知し、未来への警鐘を鳴らしているのかも、という記述が興味深い。大脳生理学や分子生物学の言葉だけでは足らず、無意識とか心の窓とか、一種の比喩表現の助けを借りねばならないところに、脳が紡ぐ精神機能の複雑さと不可解さがある。2014/02/07