内容説明
稀代の相場師として数奇な運命をたどった中江滋樹。小学生で株取引を始め、弱冠20代にして大阪・北浜の若獅子、東京・兜町の風雲児と持てはやされた。その人脈は政財界からスポーツ芸能界まで広がるが、「投資ジャーナル事件」で暗転、塀の中へ。出所後はアングラマネーで再起を図るものの、ついに果たせず海外逃亡、幾度も死亡説が流された。そして2020年、アパートの一室で焼死――最初で最後の自伝的告白。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
60
中江目線で書かれているので、なぜ逮捕されたのか、腑に落ちない面もあります。彼の相場哲学を読み解くとそこら辺の証券営業マンよりもずっと素晴らしいと思います。当時、中江の他にたくさんの詐欺集団いて、その一括りのように報道されていました。この著書を読むと、それは大きな間違いだったと感じます。ライブドア事件の首謀者よりもずっとクリーンだったと思います。相場師という響きはアウトローのイメージがありますが、一方でものすごくロマンチストであることを感じます。中江に群がる人の方がおかしいのだと思います。2021/03/11
Atsushi
29
バブル前夜に世間を騒がせた若き相場師。ボサボサ頭と無精ひげが懐かしい。莫大な資金を盾に角栄とも交流があったというから驚いた。報じられなかった逮捕後の人生もまさに波乱万丈。多くの人が去ったというのに愚痴や恨み節がないのが潔い。亡くなったとは寡聞にして知らなかった。合掌。2021/03/20
gtn
26
"拝金"は宗教である。その信者は往々にして「人のため」と言い出すことからも分かる。彼もそうだった。その結果は、国家に出る杭を打たれ、海外逃亡を経て収監。隠し財産の消滅。精神錯乱。最期は木造アパートの一室で焼死。信じ続けたマネーに御利益があったとは思えない。だが、客や社員に迷惑をかけたくないとのポリシーや所作を知り、何ともいえぬ人間的魅力を感じた。2021/04/11
おいしゃん
25
小学生の頃から株を始め、20代で数百億を動かすようになった中江氏も、国外逃亡生活、逮捕、最後は生活保護を受けながら、火災に巻き込まれて亡くなるという壮絶な人生。そんな伝説の相場師を取り上げ、インタビューを重ねた本書の意義は大きい。2021/11/14
まゆまゆ
14
投資ジャーナル事件の中心人物であり、かつて兜町の風雲児と呼ばれた相場師である本人へのインタビューから書き起こしたルポ。小学生から株の売買をはじめ、ローソク足チャートを学んだ中高生時代から、やがて億の金を動かす相場師となるまでの半生から、逮捕後の凋落とのギャップがすごいなぁ……2021/09/17