内容説明
真面目な看護師コレデはうんざりしていた。美貌の妹アヨオラが、今日もまたその彼氏を殺してしまったのだ。これで三人目。コレデは死体を処理するが、次第に警察の捜査が姉妹に迫り……。ナイジェリアの新星が描くブラックユーモアと切なさに満ちたサスペンス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ﾓﾙｸ
132
看護師の姉コレデは、美貌の妹アヨオラが付き合った彼氏を次々と殺してしまうことに悩んでいた。常にその尻拭いをするのはコレデ。自分を抑え真面目なコレデに比べ自由奔放で男を魅了するアヨオラは嫉妬の対象であると共に共存する一部である。コレデがひそかに恋する医師タデもアヨオラにひかれていく…はじめて読むナイジェリアの小説。シリアルキラーにつきものの暗さは微塵も感じられない。軽快でわかりやすい文章が姉妹の罪よりも美貌だけで吸い寄せられる男にも非があると思わせる。ミステリー賞四冠の作品。2021/11/02
buchipanda3
122
ナイジェリア人作家による姉妹物語。ぎょっとなる題名だが、読み味はからっとしたユーモアと洗練さに満ちていて心地よく、あれよあれよと一気に読み終えた。姉のコレデは真面目で慎重、妹のアヨオラは美貌の持ち主で利己的で合理的。よくある正反対な姉妹だが、何だかんだ言って二人の切っても切れない結びつきがいいのだ。姉妹に起きた問題の元は家族の過去の重い事情。だがそれをむしろ吹き飛ばすような事態に転換しているのが面白い。社会の不条理も愛の存在だってどうなのさ。何が正しいかなんて混迷してしまっている現実を逆に笑う作品だった。2021/09/05
のぶ
117
今までにあまり読んだことのないミステリーだった。舞台はナイジェリア、看護師として働く女性・コレデが、妹のアヨオラに助けを求められて駆けつける場面から物語は始まる。何の助けか。アヨオラはフェミという交際相手の男を刺し殺してしまったのだ。アヨオラが交際相手を殺すのはこれで三度目。アヨオラに何があったのか？どんな人物なのか？真相は徐々に明らかになって行く。但し、読んでいてもクライムノベルの香りを感じさせない。何か歪んだ姉妹の関係が、心に沁み込んでくる。短い章の積み重ねが独特の雰囲気を感じさせる一冊だった。2021/02/09
Panzer Leader
79
題名が全てを語る、テンポ良くとても面白く読めてしまうのに、読後感は何も残らないという摩訶不思議な小説。2021/11/09
sin
78
家族の呪縛…ボーイフレンドを殺害する妹、その犯行を隠蔽する姉、その妹が姉が想いを寄せる医師を魅了してしまい…姉の独白で綴られる物語は深みがあって独特な趣を感じさせる。看護師である彼女が唯一の相談相手に選んだ昏睡患者が目覚めて彼女と対峙する場面、そして新たな妹の犠牲者とその予想外の展開から物語は終局に雪崩れ込もうとするようでいて結局は…但し、作者が創作活動の片手間に書き留めたらしく余韻を残した幕曳きと云うより、尻切れ蜻蛉な感は否めない。2021/01/19
