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内容説明
彼は帰ってきた。遺骨となって…。
失踪した男は何を想い、何を背負っていたのか…。
婚約者と家族たちは、数少ない遺品を頼り、失踪時の足跡をたどっていく。
そして、たどり着いた真実とは────。
「あなたにとって私は…、一番の女でしたか?」
女として男として、家族として…、人の心の機微を丁寧に描き抜いた名作が、新装復刊!
【目次】
1、三年の空白
2、追跡
3、裏切り
4、ダブルキャスト
5、忘れる…
6、蝶の影(前編)
7、蝶の影(後編)
8、路地の家
9、許す日
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ムーミン2号
7
結婚式を前に突然失踪した彼がそれから3年たって交通事故で亡くなったと連絡が入る。その3年間の彼の足取りを追うことで、どうして突然失踪してしまったのか、本当はどう思っていたのか(彼女を好きなのか、もとに戻りたいのか)を知ろうとする真樹子。彼女が最後にたどり着いた本当の彼の思いとは。そして彼の実家でも母親が重い腰をあげて踏ん切りをつけるべくある場所に向かう。最後の方はなかなか胸に刺さる作品だった。2023/11/13
Gen Kato
4
失踪した男の「理由」を探す人間模様。解決はないのに大団円はある物語の深さにうなる。近藤作品やはり良し。2024/08/01
gachin
3
最後まで兄の失踪の理由が分からないのが良かった。著者曰く、明るいグレーゾーンの群像劇。本当に言いえて妙だと思う。高校生青春モノのような爽やかな水色に振り切れたところ以外に、こういう中年にとって現実味のある色相の部分に、心の帰る場所があるってのは本当にいいことだと思う。2024/07/04
biwacovic
3
人にはそれぞれの人生があり、自分が知っているのはその一部でしかない、ということ。そしてそのことに気づく時間はとても貴重だということ。とても良かった。2021/01/20
Kavi
2
しばらく消息不明だった男が交通事故で死んだと、家族の基に連絡が入る。父が早くに亡くなり父親代わりをつとめていた兄が、突然、家族の前から姿を消し、どこで何をしていたのか。元婚約者、弟、妹、母が兄の後を追う。そして知らなかった本心をしる。「かわいそう」と人の人生の価値をかってに決めるこの言葉が、どれだけ残酷なものか改めて心にささる。勝手に人を被害者にしてはいけないな。2021/03/24