講談社文芸文庫<br> 慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り 漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代

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講談社文芸文庫
慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り 漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代

  • 著者名:坪内祐三【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 講談社(2021/01発売)
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  • ISBN:9784065222751

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内容説明

夏目漱石、宮武外骨、南方熊楠、幸田露伴、正岡子規、尾崎紅葉、斎藤緑雨の七人がみな、幕末維新動乱真っ只中の慶応三年生まれの同い年だということに、著者が興味を感じ続けてきたことからすべてが始まる。明治期の文学に造詣の深い著者が膨大な文献を渉猟することで浮かび上がってきた、七人の傑物たちの姿や相互に絡み合う関係を生き生きと筆致で描くことで、明治初期から日清戦争までの時代を鮮やかに浮かび上がらせる本書は、2001年講談社エッセイ賞を受賞した。鋭い批評性を保ちながらも、ひたすら頁を繰っていきたくなる面白さに満ちた文芸評論の傑作。

目次

エージャナイカと神経衰弱/二つの誕生日を持つ男たち/漱石や子規が転校した理由/英語と漢文の間で/自由民権運動の時代に/熊楠、子規の上京と賄征伐
七人男、東京に揃う/『当世書生気質』と『小説神髄』/学制改革が二葉亭を作家にした/外骨が『頓智協会雑誌』を創刊する/露伴という号の由来と子規の句/『我楽多文庫』と『都の花』/女学生ブームの中で/『露団々』が世に出るまで
大日本帝国憲法発布/紅露時代の幕開け/緑雨の「小説八宗」と熊楠の『珍事評論』/正岡常規、喀血し正岡子規となる/漱石と子規の交流。紅葉・露伴、読売新聞入社/尾崎紅葉と文士劇のはじまり/第三回内国勧業博覧会開催される/獄中の外骨と露伴・漱石の憂鬱
紅葉館熱と東京専門学校文学科の創設/正直正太夫死す/露伴の引っ越し、紅葉の引っ越し/恋愛は神聖か肉交か/驚異の新人、森鴎外/明治二十四年の夏休み/作家志望の若者たち/子規と露伴の出会い/二つの英訳『方丈記』
漱石の「中学改良策」/子規の入社と外骨の出獄/紅葉の覆面小説と『万朝報』の創刊/郡司大尉の千島行きと二つの月ケ瀬紀行/外骨の『文明雑誌』と子規の「文界八つあたり」/北村透谷と『文学界』の「怒れる若者たち」
英文学士・夏目金之助誕生する/外骨の細川家騒動とロンドンの熊楠/正岡子規の「おくのほそ道」紀行/三文字屋金平の『文学者となる法』/内田魯庵と尾崎紅葉をめぐる因縁/紅葉もスランプ、露伴もスランプ/正岡子規の二つの新聞小説
あとがき
ここまでは描きたかった ――文庫版あとがきに代えて
解説
年譜
著書目録

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shizuka

23
教科書の常連である文豪たちにも若い頃があり、悩みがあり、悶絶があり、嫉妬で眠れぬ夜もあったのだ。尾崎紅葉さんがなんとなく中心となって書かれているけれど、その間、アメリカで日本でみんなやっぱり生きている。自然主義派の田山花袋さんもちょこっと出てくるけれど、扱いがひどい。野心があってなんぼ。野心なくして発展はない。右へ行っても左へいってもチャンスに出くわすことができた黄金期。漢文から始まり英文学、仏文学、果ては露文学と一体いつ学んでいるんだろうと思うほどの勉強量。現代日本人との素養と教養の質の違いに項垂れる。2023/09/30

みつ

18
以前に新潮文庫で読んだ本の再読。前回は飛ばし読みだったので、今回はメモをとりながら丹念に読んだ。明治改元の前年、慶応三年(1867年)生まれの七人、漱石、外骨、熊楠、露伴、子規、紅葉、緑雨について、その時代状況を踏まえつつ、生涯を追っていく。明治35年(1902年)歿の子規、紅葉から昭和30年(1955年)歿の外骨まで後半生の長さは大きく異なるものの(歿年齢の平均を計算してみたら57歳)、「あとがき」によれば雑誌連載24回で、外骨の死まで描き切る予定だったが、実際は分量的に倍近くになりながら、(②へ)2025/05/24

Inzaghico (Etsuko Oshita)

10
余談、脇道大好きなわたしは、本筋とは関係ない逸話についつい目がいってしまう。7人のなかでも、お気に入りは反骨・在野の才ある奇人の外骨と熊楠のふたりだ。熊楠は、明治という時代にアメリカにわたり、その後イギリスに移って14年間日本に帰らなかった。アメリカでは大学に入って酒を飲んで騒ぐなどしているのは、微笑ましい。ただ、自分の好きな学問には身を打ち込んだ。そして14年間の海外生活で鍛えられた英語力は相当なもので、「方丈記」の英訳が漱石版と熊楠版で紹介されている。坪内が言うように、熊楠訳のほうがこなれている。2021/04/11

Hotspur

4
単行本で昔読んだことがあるので、再読。漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨の同年生まれの文人の生涯を、明治以降の日本社会の変化の上において語る力作評論。その中心となる概ね明治22年から27年までの五年間の記述、なかでも尾崎紅葉と正岡子規のパートは脱線お構いなしの文体と相俟って特に読ませる一方、やむを得ないのだが外骨・緑雨の記述はやや薄いか。本作は日清戦争開戦前夜に突然終わるが、その理由が著者あとがきによると「私は飽きてしまったのである」と人を食っている。詳しい年譜だな、と思ったら坪内祐三の年譜だった。2023/08/20

takao

3
ふむ2022/10/20

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