内容説明
1940年、かつての栄光ある国家はヒトラーに侵略された。本書は、ド・ゴールが立ち上げた抵抗運動の自由フランスが国際社会と国内で正統性を獲得し、戦後国際秩序を構想して戦勝国の一角を占めるまでを実証的に活写する。国家の正統性とは? 危機の時代の指導者とは? そこには、国際政治の本質への示唆が満ち溢れている。
目次
はしがき
略語表
序章 「戦勝国」と「敗戦国」の狭間
はじめに
1 「一九四〇年」の衝撃
2 戦後をつくった政治エリートたち
3 先行研究はどのようになされてきたか
4 戦後構想のなかのヨーロッパ統合
おわりに――国際秩序構想史という視点
第1章 英仏統合を模索したフランス――幻の「特別な関係」
はじめに
1 英仏統合構想の背景
2 英仏調整委員会の活動
3 急ごしらえの「英仏連合」案
おわりに
第2章 自由フランスの脆弱な基盤――制度化をめぐる動き
はじめに
1 敗北の結果としての「フランス」
2 制度化の萌芽
3 アメリカがヴェガンに寄せた期待
4 自由フランスにとってのアメリカ
おわりに
第3章 自由フランスの「運動」からの脱却――制度化の進展
はじめに
1 戦後に向けての懸念
2 大西洋憲章と自由フランス
3 戦後問題を研究するための委員会の創設
4 日米開戦と連合国共同宣言
おわりに
第4章 戦後構想と自由フランスの試練
はじめに
1 ヴェガン失脚後の米「仏」関係
2 連合国共同宣言への署名先送り
3 戦後構想に向けた研究
4 「フランス」をめぐる正統性の問題
おわりに
第5章 北アフリカの「フランス」
はじめに
1 第二戦線をどこに構築するか
2 「不慮の存在」ダルラン
3 ダルランの「フランス」
4 ダルラン暗殺
5 ポスト・ダルランをめぐる権力闘争
6 新たな「フランス」の誕生をめぐる角逐
7 優位に立ったド・ゴール
8 新たな拠点としてのアルジェ
9 ジローの失墜と安定に向かう「フランス」
おわりに
第6章 「西ヨーロッパ統合」構想をめぐる政治
はじめに
1 戦後に向けた研究の停滞
2 戦後ヨーロッパをめぐる懸念
3 三つの「西ヨーロッパ統合」構想
4 「西ヨーロッパ統合」に対する外交方針
5 ド・ゴールの外交論に対する反応
6 「統合」の本格的研究とドイツ問題の論理
7 ベルギー亡命政府との交渉
8 「西ヨーロッパ統合」構想に対する懸念
9 揺らぐ「西ヨーロッパ統合」構想
おわりに
第7章 大国間協調体制への順応
はじめに
1 フランスに求められる役割
2 普遍的国際機構の実現に向けて
3 フランスとダンバートン・オークス提案
4 フランスと「会議外交」への復帰
5 戦後国際秩序構想の終着点
おわりに
終章 後味の悪い「勝利」
1 終戦へ
2 国際秩序構想史としての第二次大戦史
3 「状況対応型」外交による挽回
結語
あとがき
注
参考文献
人名索引
事項索引
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BLACK無糖好き