内容説明
中2の涼は転校先の学校で、どこか大人びた同級生・百合と出会う。初めて会うのになぜか懐かしく、ずっと前から知っていたような不思議な感覚。まっすぐで凛とした百合に涼はどんどん惹かれていく。しかし告白を決意した矢先、百合から聞かされたのは、75年前の戦時中にまつわる驚くべき話で――百合の悲しすぎる過去の恋物語だった。好きな人に、忘れられない過去の恋があったら、それでも思いを貫けますか?愛することの意味を教えてくれる感動作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
291
『今の俺は、国のために死ねと言われて死ねるだろうか。死ぬために戦闘機を操縦することができるだろうか』。私達は日々の暮らしの中でこんな事を考えることはありません。しかし、たまには、一度くらいは、いっ時だけでも、先の大戦の中を生きた人達のことについて思いを巡らす時間を持つことがあっても良いのではないか、この作品を読んで改めてそう思いました。とても読みやすい物語の中に色んなことを考えさせてくれたこの作品。前作に涙した方には是非とも読んでいただきたい、百合のその後を見届けていただきたい、そう強く感じた作品でした。2021/12/13
future4227
118
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の続編。胸がキュンキュンしてしまう話だった。目を合わせるだけでドキドキしてしまうようなピュアな恋愛。でも、ただの恋愛話でないのは、そこに生まれ変わりというテイストが加わっていること。そして、平和を願う作者の強い思いが、前作で戦時中にタイムスリップした百合のひと言ひと言に託されていることも単なる恋愛小説とはひと味違う。期待通りの結末でホッとした。ただ、前作を読んでいないと百合が時折見せる驚きの表情が、なんでなのかがわからないかもしれない。やはり前作から読むべき作品。2021/09/16
のんちゃん
117
女子中学生百合が戦時中にタイムスリップして特攻隊員に恋をし、彼の特攻を胸張り裂ける思いで見送るという『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』の続編。今回は現代に戻った百合と、特攻隊員として散った彰の生まれ変わりの涼との物語。10代人気No.1の作品との事。60代のおばちゃんが読むとこそばゆい、ピュアすぎる恋物語だが、10代、20代の若者がこの作品で戦時中の人々の気持ちを少しでも理解し、作品中にもあるが、今の日本の平和の有り難さを感じてくれればいいなぁと切に思う。私も前作と今作を息子の机の上にそっと置いた。2023/10/30
はにこ
112
あの花が咲く丘で〜の続編。現代に帰ってきた百合ちゃんが転生して涼となったあきらと出会う。彼のことを忘れられない百合。短い間でもあんなに濃い時代を生きたのだから仕方ないのかもしれない。戦争のせいで未来を失った青年たちを思うと胸が痛む。平和に過ごせる毎日がいかに貴重なのかを考えさせられる。いくら転生しているとはいえ、記憶の無い男と重ねあわされてもそれを受け入れる涼の度量に感心。ハッピーエンドで良かったね。2024/07/10
おしゃべりメガネ
108
『あの花が咲く~』の続編で、前作で戦時中へタイムスリップした「百合」の前にどこか既視感のある男の子「涼」が登場し、二人の淡く切ない物語が幕をあけます。前作で特攻隊員「彰」に恋をした「百合」は現代に戻り、失意傷心の日々を過ごしていました。そこへ現れた転校生「涼」は「彰」の雰囲気を不思議と漂わせており、お互いの存在が気になります。話の軸は中2の男女のベタアマ恋愛物語といいつつ、前作でしっかりと考え方が大人になった「百合」の振る舞いがステキです。ベタな展開ではありつつも、しっかりと最後までイッキ読みでした。2025/08/18




